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わたしがんばってます仮面を脱いだ日

ちゃらんぽらんで勉強ができない子だった。
やればできるのに…と親友のあっちゃんや真弓に毎日言われ、
それでも何かを褒められることに全く無欲で
いつも全身どろだらけになって暗くなるまで遊んでいた。
勉強なんて最小限しかしたくない、
大学に行くなんて物好きな…とすぐ就職して
のんびりだらだら暮らす、そう思っていた。かなり強く。

ところが、地元の何もかも平均的な公立高校に入り、
期末テストで学年トップの成績をまぐれで取ってしまった。
努力したというより、
そのときの担任の古文・漢文がおもしろかったこと
数学を解くコツを担当のくせが強いおっちゃん先生が
分かりやすく教えてくれたこと、など要因はいろいろある。

しかし、学年トップというのはなかなかセンセーショナルな展開で、
幼馴染のあっちゃんも真弓も(同じ高校に進学した)
目をまるくして驚いた。

うそッ!あの子が!!

さらに、びっくりしたのが担任の先生をはじめ、
職員室の先生たちだ。

うっそ!あいつが!!

そんなこんなで
一躍スターのようにちやほやされ、
一斉に「次も期待してるぞ!」
「やっぱりやればできる子だったんだね」
と私を見る目が変わった。

それから、大学受験、就職と
一般的に言えばおりこうさんコースをたどってきた。
そして、「娘さん、ようできるのお。」
と近所のおばあちゃんもわざわざ言いにくるほど
私はおりこうさんな娘になった。

しかし、本来私のキャラではない。
無理がある。家に帰ると、どっと疲れる。
言いたかった暴言を部屋で吐く。家族にあたる。

こんな仮面はいつかはがれる。いやはがしたい。
という気持ちを横に
いろいろと褒められる人生を捨てきれない自分もいた。

あるとき、人間関係はうまくいかず
職場で浮いてしまった。
だれもわかってくれない。期待に応えられない。
そういう思いが募り、
もっと正直に生きたいと
これまでの環境をすべて捨てた。
安定した仕事も肩書も
すっぱり捨てて、何もないけど素のままの自分を取り戻した。

もちろん、時々無性に泣く。
でも、後悔はない。
ようやく「わたしがんばってます仮面」を
脱げたような気がしているからだ。
さあ、次は自分の本当に望んでいることを
楽しんでやっていく。
もうがんばらない。
仮面はいらない。

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