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官庁訪問体験記

挨拶

みなさんこんにちは!

今回のnoteでは私が経験した官庁訪問での出来事についてお話しします。なぜ書こうと思い立ったのかそれは後ほどお伝えしますが、このnoteは私にとっての一つの区切りのようなものです。

このnoteを読んでいるみなさんは国家公務員を目指して努力している方、これから挑戦しようと思っている方、国家総合職の官庁訪問について興味を持っている方であろうと思います。

国家総合職、キャリア官僚として日本をよくしたいという思いをもつ皆さんに、noteを通じて私の経験を、思いと共に伝えることができたら嬉しいです。

また多くの官庁訪問体験記はYouTubeやネットなどであがっていますが、あれは官庁訪問の一側面を捉えたものにすぎないと思いますし、大体受かった人は書かないので、怨恨のようなものが含まれてるのではないかって官庁訪問を経験した今思います。情報の取捨選択は難しいと思いますが、私はなるべくフラットな立場で体験記を書きたいと思います。

ただ私の体験記も私からみた一側面に過ぎないので信用するかは各自の判断に任せます………ただ嘘はつきません(笑)

官庁訪問の様子は人事しか知らない、ある意味ブラックボックスのような感じなので、一受験生の私たちは色々勘繰ってしまい、官庁訪問中も様々なデマが出回ります。そういったデマはインターネットにも出回り、おそらく一部本当で、一部大嘘です。今回は僕自身が体験した話で信憑性の高いものをお話しできればなぁ(信憑性の薄いものはデマかもって書きますね)って思ってます。


なぜnoteを残すのか?


私は、このnoteについてある問題意識があって書くことを決意しました。

その思いについては私の経歴から話さなければなりません。私は、地方大学出身で、私の周りの学生は会社員か教員になる人がほとんどで、公務員試験を、ましてや国家総合職を目指す学生は全くいませんでした。金銭面の心配から塾、予備校、生協の公務員講座にも通わず、ほぼ独学でやっていたため、情けない話ですが、先の見えない不安や焦りから、夜眠れないこともありましたし、何度も1人で泣きました(笑)

それでも日本の教育をよりよいものにしたい。未来を背負う子どもたちと、子どもたちの可能性を広げることのできる教員を支えたいという思いで一次試験二次試験を突破し、官庁訪問まで辿り着くことができました。

単刀直入に申し上げると、官庁訪問をして感じた問題意識とは 「情報の非対称性」です。

東大京大など優秀な学生が集まる官庁訪問の控室では、地方学生の私が聞いたことのないような面接の流れや選考に関すること、メンターの存在などの情報が飛び交っていました。

私は唖然とし、官庁訪問の前からすでに勝負は始まっていたことをまざまざと感じました。官庁訪問はよく情報戦と言われますが、これはおそらく真実です。
民間も似たところがあるので、別に悪いわけではないのですが、民間と大きく異なるのが、OB OGが地方大学にはなかなかいないこと、官庁訪問の様子などについての情報がインターネットに上がっていないことでしょう。
これは圧倒的に地方学生に不利です。
レースが始まる前から300mのアドバンテージをつけられているみたいなものです。ただでさえ地方から来る学生は交通費や宿泊費の面で大変なのに……。仕方ない側面はありますが、その状態は良くないと強く思います。

近年教育格差や経済格差、情報格差が話題に上がり、多くの省庁でその是正に取り組まれていることと思いますが、そもそもこの官庁訪問自体が格差の最たる例なのではないだろうかなんて考えたりもしました。

経済的にも精神的にもそして情報量でも地方学生には不利です。
近年オンライン説明会が頻繁に開かれ、かつてほどその格差はないなどと言われていますが、それは大阪や京都に住む人たちが言っているだけであり、そうではない私からすれば、彼らは十分「都会」に住んでるし、OG OBがそこそこいるし、説明会だって大阪や京都で頻度は少ないとはいえ開かれることもある、それで「地方でもオンラインがあるから関係ないよ」は少し私と状況が違うと思います。

少し語気が強くなってしまいましたが、忙しい人事の方の気持ちになれば、合格者の少ない地方学生のためにわざわざ地方に赴き、説明会を開くのはメリットよりも苦労が大きいだろうと一定の理解はできますし、そもそも最近になるまで官僚になる人は東大京大早慶のみで地方学生に、その門戸は大きく開かれてませんでした。

そのため今の仕組みは、いわゆる「合理的な判断」だと理解しています。

このように仕方ない側面があるといえ、その判断によって切り取られてしまう人がいるのではないか、受験者を分断してしまっているのではないか、とも思います。

地方学生というマイノリティはどこまでいってもマイノリティの中でしか生きられず、地方から見た自分の問題意識、思いを国に届けることは難しい。 その状態は国家公務員という組織全体にとってもそしてひいては国家全体にとって良くないことであると強く思います。

私がnoteを書いたところでその分断を無くすことはできませんが、より多くの人にこのnoteが届き、その差を縮めることができたらいいなと思い、私の体験を記すことに決めました。
地方学生のみなさんでもチャンスはあります。私がつかめなかったそのチャンスをぜひ掴んでほしいと思います。

※このnoteは人事担当への悪口でもなければ、私の受験した省庁の悪口でもありません。特定の誰かを傷つける意図もありません。

文部科学省 官庁訪問


その前に

先述のとおり、日本の教育をよりよくして子どもたちをそして教員を支えたいという思いを持ってなんとか国家総合職試験を突破することができました。そしていざ官庁訪問に行き、結果的に第一志望である文部科学省は第3クールまで残りましたが、最終選考で帰されてしまいました。

この結果に関しては自分の実力不足だと思いますし、最終面接で自分の思いをうまく伝えきれなかったところが悪いと思っているので結果に関しては残念でしたが、不服ではありません。

もちろん悔しかったですが、学歴も、大した経歴もない一学生の私に真摯に向き合い、思いと考えを親身に聞いてくださり、評価してくださった人事のみなさんには感謝しています。
僕以外の受験者のみなさんも、職員の皆さんも素晴らしい方ばかりで一緒に働けたらどんなに楽しかったのかと考えることもありますが、それでも自分を信じて、大きな壁に挑戦できたこと、最後までやり切れたことが私にとって、本当に本当に大きなことで、この一年で大きく成長できたと思っています。私の思いを直接、政策という形で届けることはできなかったけれど、きっと職員のみなさん、内定を勝ちとった他の受験者がその思いを果たしてくれるだろうと確信しています。

まず官庁訪問とは


官庁訪問とは、志望府省等に採用されるための最後の関門です。

総合職は、試験に合格するのも大変ですが、試験に合格しても、この官庁訪問で志望省庁から内々定がもらえないと、翌年4月からキャリア官僚として勤務することができません。

採用者数は最終合格者の3割程度の水準にあります。しかし採用者の中には過年度の合格者も含まれていることから、実際には、人気官庁の倍率は5倍ほどあります。

これらサイトには官庁訪問の流れが詳細に記されているため、一読し、確認すべきです。

志望理由~なぜ国家公務員を目指したのか~


まず私は「国家公務員になりたい」と思って国家総合職試験を受験したわけではありません。文部科学省に入省して、自分自身で環境を変えることのできない教員と子どもたちの支えになりたいと思い、その手段として国家公務員を目指しました。この点について少し私の経歴も含めて話させてください。
(特定の誰かを傷つけたり、省庁の愚痴を言うつもりはありませんので大目に見てください。)

私はある地方の田舎の街で生まれました。両親はいわゆる転勤族で小学校が四回変わりました。そのためせっかく友達ができてもすぐ引っ越して、新たな環境でまた一から友達を作らなければならず苦労しました。

転校を繰り返す中で、ある場所では教育にかけるお金と時間が多く、特に裕福な家庭環境で過ごす人はこの傾向にあり、勉強に専念することができる。その一方で、ある場所では両親共働きで日中は妹弟の面倒を見なければならず、本人たちもそれが当たり前と思って生活している、などといった「格差」を子供の頃から身をもって感じました。

また転校をするたびに学習環境が変わっていたので、ある学校では馴染めず、いじめのようなものを受けたこともありますし、学校に行くことが怖くて教室に入れないこともありました。

そんなこともあり、私は幼い時から「学びづらさ」「生きにくさ」を潜在的に抱えていたと思いますし、実際に学校生活をしていく中で「もっとこうあればいいのに……」といった集団の中でマジョリティを優遇し、マイノリティを蔑ろにしてしまう傾向のある、普遍的な学校教育の在り方に多少の疑問を持っていました。

両親は転勤により、たびたび私に苦労をかけて申し訳ないと言っていますが、転校が多いことは、別に悪い事ばかりではなかったと思います。その場に馴染むために子供ながらに他人の感情を気にするようになったことから、(その結果かわかりませんが)人の痛みに敏感になり、困っている人、悲しい思いをしている人に寄り添い、支えになりたいと強く思うようになったと思ってます。

また、転校を繰り返す中で、多くの素晴らしい先生に出会い、精神的に不安定な時期に支えていただいた経験から「今度は自分が生徒を支えたい」と思い、そして自分が学校環境に馴染めなかった経験から、「自分と同じように学校環境に馴染めない子でも、学校が大好きな子でも、みんなが共に一つの教室で学び合える環境を作りたい」と思い、教師を目指すようになりました。

このような経緯から「教師になろう」と教育系の学部に進学しましたが、教育実習やゼミを通して、教員の働き方改革の重要性を切に感じました。

教員採用試験の倍率は軒並み低下傾向で、すでに慢性的な人材不足に陥っていると言えます。精神疾患によって大好きだった「教師」という仕事を辞めなければならなくなってしまった方もいました。幼いころから教師を志す友人も教師の業務内容の過酷さから教師を諦めました。

このように教育現場と関わりを持つ中で、そこに素晴らしい人材がいるのに過酷な労働環境、不適切な学習環境によって、彼らの可能性を広がることができていない実態を目の当たりにしました。

このままでは日本の教育現場は「子どもたちの学びを維持できないのではないか」そういう問題意識から文部科学省に入省して、国家公務員という行政の立場から日本の教育を支えたいと強く思うようになりました。


(補足)
ここまで書くとすごい志の高い人だと思われるのですが、実際には「私なんかが国家公務員になれるのか」と不安で仕方がなく、半ば諦めるつもりで文部科学省の説明会に参加した際、人事担当の方に「君みたいに思いの強い人に出会えてうれしい。遠いところから来てくれてありがとう」と声をかけていただき、「思い一つで世界は変えられる。自分にもチャンスはあるし、いつか"そこ''に立てるように頑張りたい」と胸が熱くなり、そこから本気で勉強し始めました。だから私は、特別な才能や経歴がない「ごく普通」の学生でしたが、悩みながら泣きながらそれでも一歩ずつ前に進んでいきました。



続いて官庁訪問についての体験談をお話しします。私は文部科学省に第一クールの1日目から訪問しました。官庁訪問は、第一志望の省庁に1日目に訪問するという各省庁の共通認識があります。

1日目



9:00
集合で大きな会場(控室)に受験者が全員いました。80人くらいだったと記憶してます。この時、私は技術系の方も含まれているため、妥当だなと思っていたのですが、後に全員事務系の方々だと気づきました。集められた人の中には事前説明会で印象に残っている方もいました。(ちなみに2日目にも受験者はいるため合計140人くらい受けたのではないでしょうか?採用は多くても事務系だけで30名なので倍率は約4倍ですね………)

席はおそらく文部科学省の採用マイページに登録した順(?)なのか、もともと適当に振られた受験番号の順番で、1テーブルに6人が配置され、椅子に座りました。

この時の私は緊張でガチガチです(笑)
しかし、同じテーブルの方々が気さくな方ばかりで国家総合職受験の話や官庁訪問の噂話、興味のある教育問題や、研究分野などについて和気あいあいと話し、少し緊張が和らぎました。(ベーシックインカムの是非やマルクス経済学、学校選択制の是非などそれぞれが専攻されている分野のお話も聞けてとても良い勉強の機会でした。こういうのは楽しんだもん勝ちですよ。)


(補足)
私はそこそこのコミュ障で、初対面の方と話すのは苦手なので、初めは聞いていないふりをしてみなさんの話をこっそりメモしてました📝(陰キャ感)
ある方は「控室で緊張して吐いた」「控室はデスマッチだ」とおっしゃっていましたが、これから控室にいる学生は、同じ熱意をもった一緒に戦う仲間だと考えれば、楽しく過ごせるのではないでしょうか。

集団面接


初めは集団面接です。呼ばれたのが先頭から順番なので10:40ごろだと記憶しています。
同じテーブルに座っている人たちで行いました。別階の会議室に案内され、迷路のように区切られたブースの一角に案内されました。

この時私は、集団の先頭を歩いており、ド緊張で頭が真っ白で、面接のブースがあることにさえ気づかず、パッと横見たら面接官がいました(笑)
そのためビクッとなり、「失礼します」という挨拶も忘れ、そろそろと椅子につきました。この時点でもう「死」を覚悟しましたが、気持ちを切り替え、その後の面接に臨みました。

集団面接の面接官は3人でした(若手の男性職員、初等中等教育を担当しておられる10年目くらいの女性職員、高等教育を担当しておられるおそらく40代後半くらいの男性職員)
受験者は5人でした(同じテーブルのうち1人は別のグループでした。これは単に人数調整なので特に意味はなさそうです。)

聞かれた内容はほとんどがオーソドックスなもので、いわゆる入口面接というものでした。合計3つの質問をされました。初めの質問は確か「自己紹介を自身の経験を踏まえて1分ほどでしてほしい」との内容だったと思います。グループで一番端に座っていた私から順に答えていきました。

次の質問は「あなたの志望動機も踏まえた政策提言をしてほしい。これは1人1分半ほどで、政策提言をされた後に私から一つ質問をするのでそれに対して回答して欲しい。今度は先程答えた順と逆順で答えてください」という質問内容だった気がします。いわゆるタイムボンバー形式(伝われ)で質問に答えていきます。

さすがは試験を突破されたみなさん、柔軟に対応されていて、回答もすごい興味深いものでした。
この時の私は「へー、この人こんなこと考えているのかぁ、面白いなぁ」なんて順番がまだだからって聞き入ってしまっていたら、すぐに自分の番がきて焦りました(笑)、中には熱くなってしまい時間を超えてしまう方もいました(笑)

政策提言をした後にその内容に対して面接官から質問があります。特に難しいやり取りはしませんし、質問されてそれに答える、一問一答形式なので難しくはありません。

最後の質問は、先ほど面接官の構成で挙げた、一番年配の男性からの質問で確か「日本の理工系の研究力を上げるために理工系人材の確保が求められるが、どうすれば良いのか?」という質問だったと思います。この質問だけ答えられる人から手を挙げて順番に答えてほしいとのことでした。30秒ほど沈黙の後1人、2人と答えていき、私は三番目に答えました。

かなり幅広い質問なので色々な観点から答えられると思いますが、専門外(初等中等局に行きたい)というのと、再び他の受験者の回答を聞き入ってしまいましたので意見を作るのに時間がかかりました(笑)

私は「理工系の人材が不足しているのは、そもそも理系を選択する学生、特に女性の理系選択者が少ないからであり、早期の意識改革(女子は文系、男子は理系という固定概念の打破)とモデルケースを作り周知することや、SSHや企業とのタイアップによって理工系科目の魅力を高めることが必要ではないか」という内容で回答しました。

わりとありきたりな回答内容になってしまいました。この内容は、説明会に参加して聞いたことを自分の経験を踏まえて話した感じです。おそらく高い評価ではなくそこそこの評価だったと思います。

自分の回答の後に、その回答内容に対して、面接官からの質問があります。この質問も聞かれたことに、的確に答えていれば落とされることはありません。

私のグループは初等中等教育に興味を持っている方が多かったので、その観点から答える方が多かったですね。中には「入試があるせいで受験を意識するがあまり文系にいく生徒が多い。そうではなく入試を廃止し、生徒が本当に興味のある学問を追求できるようにするべき」というユニークな主張をした方もいて、私は「すごいな」とただただ感心していました(笑)

これで初めの面接は終了しました。

ブースを出て行く時に、入る時にできなかった倍、大きな声で挨拶しました(笑)




→先程も申し上げましたが、この面接はいわゆる入口面接であり、面接官の指定する条件に答えることができていれば、選考に大きな影響はしないと思います。「受験者が何に興味を持っていて省庁で何をしたいか」を見ているのだと思います。

ちなみに他のグループも似たような形式で行われたらしく、聞いた話だと最後の質問だけ「少子化する我が国で重要な政策は何か」「人々のwell-beingを果たすために重要だと考える政策を理由とともに答えよ」といった点での相違点はありますが、その他はほぼ一緒でした。

面接の感想としましては、個人的には、最後に見せた年配の男性の笑顔の奥に裏の感情が見え隠れし怖すぎた(笑)のと、1人ズレた回答をしてしまった方がいてその際に面接官の1人が首を傾げていたのが印象的です………
(ちなみにその回答をしてしまった方は次の面接で落ちてしまいました。)

私は集団面接に関しても「何するんだろうかドキドキ」って感じで行ったけれど、T○Cに通っている方は分厚い官庁訪問用の参考書をもっていたし、OG OBのいる方は、面接の流れを事前に聞いていたらしいので、やはり初めに申し上げた通り、情報格差はあります。ただすべての面接にいえることですが、結局どれだけ面接対策していても予想外の質問や状況はありますし、それになんとか対応する姿勢と人間性を見られていることでしょう。

原課面接


原課面接とは

実際の業務中の職員との面接です。業務説明を受けた後、質疑応答を行うパターンが多く見られます。原課面接は、その省庁が抱える業務分野や政策課題を通じて、受験者の適性や意欲を試す感じの面接らしくない面接です。(もちろん選考に影響します)


というわけで入口面接の後は、原課面接です。この面接が行われるまでの、入口面接が終わってからの待ち時間が非常に長い………ずっと待たされました(笑)

学生が80人ほどいましたし、一人一人丁寧に面接するため、当然といえば当然ですが………

次に呼ばれたのは14:30くらいだと記憶しています。お昼休憩も合わせて三時間くらい待ちました。
はじめに私がお会いしたのは入口面接で担当してくださった若手の男性職員の方でした。4.5年目の係長の方だと記憶してます。GIGAスクール構想を担当されたとおっしゃっていました。面接の初めは私の志望動機や政策提言についての質問がメインでしたが、後半にご自身のキャリアについてのお話を聞かせていただき、その上で「何か質問はありますか?」ということでした。
この時「ありません」なんて答えたらもちろん落とされます(笑)

個人的には興味のある部署であったため、楽しく会話できました。全体で25〜30分だったと思います。

次に会った方は8年目の職員の方でした。呼ばれたのは17:30くらいだったと認識しています。教員の働き方改革に取り組んだ方だったと記憶しています。すごい冷静で論理的な方で自分の思考を見透かされている気がして怖かったです(笑)しかし自分の考えを親身に聞いてくださり、「それは自分にない視点だった」と言ってくださいました。この時も食堂で面接したわけですが、食堂が暑すぎて上着を着て行った私は汗が止まらず、かといって滴る汗を拭くこともできず、集中力が切れかけていました。そのせいか面接での盛り上がりが欠けてしまい、控室で反省しました。

面接の最後に「私もお話しできて楽しかったです。まだ面接は続くと思いますが、頑張ってください」といわれたのですが、この発言の際、面接官の目が笑っていなかったので「お祈り」(面接で落とされること)されてるのだろう、「もうダメかも……」って思ったことも記憶しています(笑)この面接はコンパクトに20分ほどでした。

先述の通り、私は二回の面接を文部科学省一階にある食堂で行いました。フランクに会話できてよかったと思いましたが、優秀な方(これは「説明会で採用担当の印象に残っている」「経歴がすごい」「入口面接で素晴らしい発言をした」など)はどんどん上の階数(偉い方は建物の上の階にいますので)の、役職の位が高い方(課長、室長など)に会っていると聞きます。
要するにこの時点で私は文字通り、一番下からのスタートだったわけです。

ちなみにこの「ルール」というか暗黙の了解はどこまで信憑性があるかわかりません。どこぞの参考書には


係長→がんばれ
企画官・監督官・総括官→いい感じ
課長・室長→かなりいい感じ
局長→内々定まであと少し
審議官→よっぽどのことがない限り内定
事務次官→確定演出


みたいな内容が書いてあるらしいですが、80人ほどいるすべての受験生を役職が上の人に会わせることは不可能ですし、おそらく受験者の興味関心と上手くマッチングさせたいという人事担当の配慮もあるので一概に言えないのではないかと思います。

私は二日目の午後まで食堂から抜け出すことはできませんでした(笑)

大切なことは忙しい中、時間を割いて面接をしていただいている面接官に感謝を持つことと自分の思いを誠心誠意語ることです。相手の役職を聞いてがっかりしている場合ではありませんよ。(そういう姿勢は見られていますし、第一、失礼ですよね)

確かに面接官の役職がどんどん上に上がっている人はいました。その方はおそらく優秀なのでしょう。そして面接の回数が一日目にして僕の2.5倍ほどあった人もいました。これも確実に内々定に近づいているということでしょうが、そうでなくても焦る必要はありません。私のように面接回数が少なくても、面接を行う階数が低くても、次の官庁訪問の予約をいただけることもありますから(笑)

正直優秀な方は文部科学省だけでなく複数の省庁で内定をとりますし、まずそんな方ばかりではないです。どんなに不安でもそれに耐える忍耐力熱意、そして全ての面接に誠心誠意応じることが大切だと思いますよ。

以前リクルートチームのリーダーの方に採用基準をお聞きした際、「総合力」という言葉を口にしていました。その時の私は「?」って感じだったのですが今なら少しわかる気がします。教育行政に対する熱意と自分の考えを説明する論理的思考力、状況に柔軟に対応する力、そして何よりも人間性、これらを見て総合的に判断されているのだと思います。

出口面接

集団面接と原課面接は終わった後に出口面接があります。(人によっては集団→人事→原課→原課→人事→出口面接などと人事と原課が入り組んだ方もいました)

ここで次の訪問の予約をもらえます。20:00ごろだったと思います。
(遅いと思われた方もいると思いますが、私は次の予約をいただけた人でほぼ一番に帰ることができました。)
優秀な方は19:00くらいに別で呼ばれ、夕食をとるように言われます。先述のとおりもちろん私はそこに呼ばれず20:00まで何も食べず待ってました。帰ったときにはまだ60人ほど控室に残っていたと記憶してます。
後日残っていた方に話を聞くと23:00近くまで面接をしていたらしいです。

遅い時間になると同テーブルの方も流石に疲れが見られ、口数がどんどん少なくなっていました。(朝の9時から夜の8時までずっと緊張状態ですからね)
ちなみに、この時の私はもう呼ばれなさすぎて腐りかけました(笑)

官庁訪問に限らず、すべての就活面接において当てはまりますが、怖いのは面接がブラックボックス化しており、「この回答は〇〇点」「この態度は−〇〇点」などという確固たる物差しがなく、フィードバックが十分に行われないまま次に進むため、分析すらさせてもらえない点だと思います。「自分が今、集団の中でどの位置にいるのか分からない」しかし面接が進んでいく中で人数がどんどん減らされ、受験生は常に生きるか死ぬかの極限状態に置かれる。いつ呼ばれるかもわからず、ペース配分も考えられない、次の訪問の予約をもらえて初めて自分の「位置」、評価が分かる。そういったところに難しさ、怖さがあると思います。

2日目



2日目の予約を貰ったのでいざ向かいます。集合は9:30だったと記憶してます。前日は休みだったので十分休息をとれました。
指定された5階の面接会場に行きました。そこには50人強の人がいました。官庁訪問一日目の場所とは違い、少し狭かったです。

控室に入ると前回一緒のテーブルだった6人中5人がおり、「みんな残ったんだね、よかった!今日も頑張ろう」なんて言葉を交わしました。官庁訪問中は友情が芽生えるとよく言いますが、本当に芽生えました。私は同じテーブルの人に本当に恵まれていました。

幻の確定部屋の話

5人掛けのテーブルにつき、新たに顔合わせのメンバーも3人ほどいましたので、自己紹介を含め、会話を楽しんでいる中で衝撃的な話を聞きました。「実は今いる5階の控室の他に『確定部屋』があって、そこにいる人は内々定確定らしいよ」という内容のものでした。
私自身「そんなばかな……」と思いつつ、確かに一日目の際に目立っていた方や、私が説明会を通じて優秀だと思っていた方、がいないことに気がつきました……
そして昼に、私の控室にいない「確定部屋」の方が8人で2×4の隊列を組んで私たちの横を胸張って歩いている姿を見て、確信しました。あの、私たちを上から見ているような威圧的な歩き方、まるで軍楽隊のような行進(脚色あり)は忘れられません。
ちなみに彼らは15階にいるようでした。まさに上から目線(脚色あり)。

これも蛇足ですが、私の座ったテーブルの中に、誤って確定メンバー方の面接室に入ってしまった方がいました。その学生曰く、確定部屋の学生は、人事の方から「今日はあなたを選抜するつもりはない。だけど何人かに会ってもらうから気負うことなく頑張ってほしい」との旨を伝えられていたらしいです。


2日目の面接内容については集合時間である9:30ごろからすぐ呼ばれ面接をするという1日目には考えられなかった手際の良さでした。控室にいる確定部屋に入れなかった約60人の学生の中には、私が優秀だと思った方や1日目も遅くに帰された優秀組の方もいました。
正直なぜこの方たちが確定部屋に入れなかったのか、確定部屋にいる方とそうでない方の線引きはどこにあるのか、不思議でなりません。

面接

午前中は入口面接から始まる方もいますが、私は原課面接から始まりました。

1人目は入省8年目の男性職員でした。面接場所はまたも食堂でした(笑)文化行政に携わった経歴と教育課程を作成しておられた経歴を持つ、柔和な方で自身の経歴について詳らかに教えてくださいました。面接は1時間ほどでした。この面接はインプット多めだったと記憶してます。控室に戻ってからメモをすごいとった記憶あります(笑)

面接後「自分は文化庁の仕事をしている人に会ってみたい」という少し図々しい申し出もしましたね(笑)

続いて15:00ごろに面接に呼ばれました。確か5階のブースの一画だった気がします。担当は若い女性の方でした。関西弁が特徴的で、自分の芯を持ち、ハキハキと話すコミュニケーション能力の高そうな綺麗な方でした。

私の話した内容に対する理解力と瞬発力が高く、私の潜在的な考えまで引き出された気がします。また、話している中で私の考える政策の矛盾点を指摘されました。かなり焦りましたが、なんとか返しました。多分あまり高い評価はいただけませんでしたが、指摘された内容は「次の面接にぜひ活かしたい」と思う充実した時間でした。

また私が質問をした際には丁寧に答えてくださり、面接官の方の、普段の業務に対する熱意と考え方をお聞きできた気がして、就活生としてではなく、一学生として嬉しかったですし、学びを得られました。

あ、、、ここまで書いてお気づきの方も多いと思いますが、文科省の面接は政策についての議論が多いです。日頃から教育政策に興味を持って、自分の意見、立場を誰かの意見を踏まえてでも構わないので見ておくことが必要です。実際に面接では、施策の弱点や見方を変えるよう促すような揺さぶる質問をされます。自分の考えをしっかり持っていないと厳しいですし、多角的な視点を持った建設的な議論をできるよう訓練しましょう!

就活でのいわゆるガクチカや長所短所のようなことは滅多に聞かれません。志望動機は何度も聞かれるので暗記しておきましょう。


若手職員との会話

この面接から控室に戻ると1日目にも行われていたキャリア1年〜3年目の若手職員との座談会がありました。これはおそらく選考に関係ありません。
業務内容や風通しの良さ、職場環境などについて伺いました。中には連日の面接でこの時間も気が休まらない受験生もいると思いますが(私です)、リラックスしてざっくばらんに会話すればいいと思います。なにより実際に働く若手職員からリアルな声を聞ける貴重な機会!選考に関係しないからプライベートな質問もOK!楽しみましょう!



その後私は、最後の原課面接を境に全く呼ばれなくなります。これは私だけではなく、多くの受験生が皆、控室で待たされました。おそらく選考が行われているのでしょう。
自分が受かっているのか落ちているのか分からないし、万が一落とされていたら試験勉強を含め、努力した一年にピリオドを打たれることになる、この時間は本当に精神的にきました。中には「もうおれはだめだ」「明日地元に帰ろう」などと冗談交じりに言っておられる方もいました。

私も状況を冷静に分析すると「面接回数は少ない」「面接場所の階数も低い」「役職が上の方に会っていない」ということもあり、落とされるか生かされるかの瀬戸際にいることは自覚していましたし、そして疲れが頂点に達していることもあり限界でしたが、「能力で他の受験生に劣っている分、精神面で負けたら駄目だ」と自分を鼓舞し続けました。

普段はネガティブな私ですが、この時ばかりは「多くの人と話せて楽しい」「まだ何があるかわからない」などとあえてポジティブな言葉を口にすることもしました。(笑)

このおかげ(?)かなんとか意識と熱意を繋ぎ止めました。

最後の最後まで何が起こるかわかりません。ただ希望を捨てた人に良い結果は来ません。腐ったらダメです!あきらめたらそこで試合終了ですよ…?

出口面接


事実、私は、最後の面接から4時間が過ぎた19:30ごろに出口面接で呼ばれ、第3クールの予約をいただきました。恥ずかしい話、この時はさすがに落ちたと思い、「私の本気で突き進んだ一年が終わりを迎えようとしているんだ」と涙を堪えることに必死だったため、予想外に次のクールのご予約をいただいて、「え?え?、また来てもいいってことですか??」って何度も聞き返してしまいました。(この無礼者が!)
ちなみに私は第一クールと同様に、第3クールに進んだ者の中ではおそらく一番早く帰宅したため、控室にはまだかなりの人数がいました。

控室にいた60人の学生は午後を過ぎた頃から少しずつ数が減っていきました。中には残念な結果になってしまった方もいると思いますが、噂だと数人が確定部屋に行ったらしいです(午前は私と同じ控室にいましたが、のちに確定部屋に行った方から連絡が来たので事実です)

確定部屋の方は何時に帰宅したかは知りません。

私が帰ったあとも面接は続いたらしく、私と同じテーブルについた方は、入口出口面接も含め合計10回ほど面接を重ねたらしいです。
帰宅は22:30くらいだったとか………


この記事をここまで読み進めたいただいた方は「なんやその『確定部屋』は!!!」と思っているかもしれません。私も「なんでそんなことするんだろう、わざわざ控室の階数まで変える必要ないよなぁ」なんて内心思っていたのですが、実際はどの省庁でも同様のことが行われているようです。
どの省庁も優秀な人材を欲しがっていますので「致し方ない配慮」であると今は理解しています。(他省庁と比較し相対的にですが)

まぁ要するに「囲い込み」の一環です。私は、「確定部屋」に行った方と話したことはなかったのですが、先述の通り、私のいる控室の方もみな優秀な方で(東大京大早慶など)「この方たち以上に優秀な方とは一体どういう方たちなのだろう」とは正直思いましたね。


(追記)
官庁訪問が終わり半年経った今は優秀な人材は優遇されて当然だと思ってます。自分が採用担当なら長くきつい官庁訪問期間中に優秀な人材から逃げられてしまうのは避けたいですからね。

また以前この記事を読んだ方から世界観がハンターハンターと言われました(笑)「確かにね」って笑い合ったのですが、先述の通り何の情報も持たず、対面の説明会を一度も参加していない私にとって、正直官庁訪問は、銃声の飛び交う戦場に竹槍一つで立ち向かうみたいな感じでした(笑)




3日目


第3クールの予約をいただいたため、3日目のお話に移ります。控室には20名弱の学生がいました。つまり2日目で半分以上の学生が落とされたということになります。1日目同じグループだった方たちも私と、もう1人以外は落とされてしまいました。

第3クールまでは土日を挟んだので、私も今度こそ情報戦に遅れないように情報収集をし、3日目は「グループディスカッション」があるらしいという情報を掴みました(笑)

グルディスがあるという情報はこの方の体験記を読んで知りました。
とても詳細にそしてユーモラスに書かれているため、一読はすべきです。

蛇足ですが、人によっては「次のクールはグルディスから始めるから頑張って」と人事担当に言われていたらしいです。私にも言ってくれれば…(笑)

グループディスカッション


ちなみにこの時の私は「え??グルディスってなに?」って状態です(笑)私は、民間企業でのグルディス対策をしていなかったため、グルディスの経験値はゼロ、そして次の訪問日まで時間はない。「もう無理だ」って思いましたね。

しかし何もしないわけにもいかないので、とりあえずグループディスカッション全体の流れをインプットして、本番に上手くアウトプットできるように準備しました。ちなみにどのように対策したかというとYouTubeの動画を見ました。あと教育問題を掘り下げることもしましたね。(面接官に聞かれたことを整理するのも含む)

具体的に私が見ていた、DEiBA就活チャンネルでは多くのGD(グループディスカッション)の動画が解説付きで掲載されています。
全体の流れが分かりやすく、かつ解説付きのため「こういう発言をすべき」「こういう発言は全体の流れを止めてしまう」などを学べます。動画を見ながら自分自身も「この流れだったらこういう発言するかな」「このテーマはこう思うな」などと主体的に考えながら動画を見ましょう。

また、文部科学省説明会で行われている「政策シミュレーション」は直接的な練習になるでしょう。
私は参加したことがありませんでしたが、「参加したら良かった」と思います。

グループディスカッションの内容


テーマに関しては「公言しないように」と言われたので、実際にどんなテーマなのか言いませんが、過去に出題されたテーマ(ONE CAREEより)は「教育系」のテーマが多いという傾向にあります。テーマ自体は、抽象的なもの、幅広い観点から答えられるものが多いです。抽象的なテーマに対して全員で方向性を定めて、それを基にどのような施策が有効的か、その際の問題点、留意点はなにかを話し合っていきます。

知識を引き合いに出す場ではないので、人の話を聞く、自分の意見を明瞭に話す、意見を繋ぐ、議論が膠着状態になったら新たな観点を出すといった基本的なことが求められます。


グループディスカッションの時間は70分。その後、グループの代表者が一名5分間で発表するという形式です。
1グループの人数は4~5人、グループ分けは受験区分によって分けられているのかなと思いました。(私のグループは4人中3人が同じ区分)

テーマが書かれた一枚の紙と15ページほどの現状についてまとめたデータ資料がテーブルに置かれ、指示があってから開きます。

グループディスカッションを始まる前に職員の方から10分ほど説明がありました。具体的にはディスカッションの流れや、ポイント、データについての解説などです。ポイントというのは政策を考えるときの留意点やステークホルダーを意識していくこと、政策ツール、データの見方などです。

ちなみに政策を考えるときのステークホルダーとは具体的には「企業」「国民」「政府」で、政策ツールとは「予算」「通知」「表彰」「法規制」「税制」「情報提供」などのことです。

基本的に政策立案グループディスカッションの流れは

ⅰ定義を確認
ⅱ現状分析
ⅲ方向性確認
ⅳ課題の確認
ⅴ具体的政策
ⅵ政策ツールと留意点

です。
後述するつもりですが、私のグループは全くうまくいきませんでした……(笑)

グループディスカッションアドバイス

初めてグルディスをされる方は「書記」か「タイムキーパー」をやりましょう。「司会」は慣れている方に譲りましょう。一見すると「司会」をしたら目立つし、みんなをまとめている感じがするから評価が高いように思われるかもしれませんが、先ほども申し上げた通り、目立つことや発言力が求められているわけではなく、グループの方向性を意識して、みんなで議論を進めることが大切です。
就活を経験した友人は「司会者であろうが書記であろうが優秀な奴は目立つ」と言ってました。本当にそうだと思います。

私のグループは司会者が暴走し、議論が全く活性化せず、時間内に無理やり、まとめきりました。要するにグループ内に「クラッシャー」がいたということです。その方への誹謗中傷になってはいけませんが、「グルディス」をしたことがないと仰っていたので、せめて「司会」をしないで欲しかったですね(笑)。私はなんとか議論をまとめようとしましたが、最終的には集団が成果を出せることを優先し、後半、発言をほとんどしなかったためさすがに「落ちた……」と思いました。発表の体裁は保てましたが、議論自体は全く良くなかったですね。
ディスカッション中、20名ほどの試験官が私たちの様子を回りながら見ています。ただ1グループ、1名の方が固定で私たちの議論のゆくえを観察していました。

これも蛇足ですが、私はタイムキーパーをやったのですが、名乗り出た後に時計を忘れていることに気づき、「あと5分くらいですね」などと時間もわからないのに、適当に時間を言ってごまかしてました。(ばかやろう)でもそれがちょうどよかったらしく幸運でした笑

ディスカッションが終わるとお昼休憩を挟みます。その間、おそらく選考が行われているだろうと思います。

14:30ごろから選考が終わったのか、順番に名前が呼ばれていきます。この時に「荷物を持って来てください」と言われた方は残念ながらここで官庁訪問は終わりです。

同じグループの私以外の3人は呼ばれ、帰ってくることはありませんでした。そして他のグループの方も順に呼ばれていきました。


グループディスカッション後

私は生き残りました。練習は圧倒的に足りなかったけれど、言われてみれば、高校の国語の授業で行われたグルディスや討論は得意でした(笑)
大学の授業等でも人と答えのない問いを考えることが楽しすぎて時間を忘れ、話し続けたことも何度かあるくらいなので、とにかくグルディスに向いている性格でした。

あと議論をなんとかまとめあげようとした点や相手の意見を聞く姿勢などが評価されたようです。

グループディスカッションが終わった時点で生き残った人たちは8人でした。(ほとんど第一クール1日目に来ていた方々でした。中には第一クール3日目に来た強者もいました。おそらく、この中で落ちたのは私くらいでしょう。)

その後、再び人事面接が行われます。

この時、グルディスを通過された方は「荷物を持たずに」と部屋に案内されます。

この時点で私は今まで面接回数も少なく、面接官の役職も高くない、そしてメンターもいない(私以外の方は全員メンターがいました)という状態でしたので半ば気持ちが浮ついていました。

今まで見向きもされなかった人から初めて認められた気分でした(笑)嬉しさと戸惑いが混じり合ったような複雑な気持ちです。

そして私は15:00ごろに「荷物を持たずに」と10階に案内されました。面接官はリクルートチームの副リーダーの方でした。(この最終選考になると面接も全員役職の高い方と行うようです)

この方は説明会で何度も顔を合わせ、そして論理的な話し方をされる方で、「エリート」な雰囲気を持つ方で明らかに優秀な方でした。

聞かれた内容はグループディスカッションの感想とグループディスカッションの内容に関してさらに面接官と一緒に議論するというものでした。

グルディスの内容が私にとって少し馴染みのないものでしたので、議論内容を深掘りされ、少しボロが出ました。また、面接カードの内容を指摘されて、焦ってしまい、オドオドした返答になってしまいました。

面接が終わると「もう少し考えたほうがいいかも」とボソッと言われ、私自身、ブースが暑くてぼーっとしていたこともあり、さらっと面接が終わってしまいました。今思えば、この時、食い下がらず、熱意を伝えることができていたら結果は変わっていたかもしれません。(いやそう思いたいだけかもしれませんね、単純に実力不足です)

人が落とされるのを見て初めて自分がどの立ち位置にいるのかどれほど評価されているのか分かる、そして自分の順位や評価が炙り出されたところでまた振り出しに戻り、面接が始まる。明確な指標やルールが分からないからこそ、常に油断は禁物でした。

控室に戻ると、ここまで残った8人、友情が芽生えました。ただみんな極限の緊張状態で、長時間拘束されており、連日の面接で疲れているようでした。

私は内心「これ以上落ちることはないのではないか」などとも楽観的に考えましたが、17:30ごろに「荷物を持って」と別室に呼ばれ、私の官庁訪問は終了しました。

情報も大した経歴も持たない私が、官庁訪問に向けて費やした一年間が終わりを迎えたわけです。しかし不思議と、私の目に涙はありませんでした。もちろん悔しい気持ちはありましたが、一地方学生の私が、自分の思いと考えだけで、東大京大の学生がひしめき合う中で、最終選考に残るほど評価されていたことを誇りに思いますし、私自身この一年でそして官庁訪問を通して、大きく成長できたと確信しています。

そして言い訳ではないのですが、自分自身、実は、文部科学省というツールではなく、他の組織で行う活動に魅力を感じました。そのため自分が文部科学省で何をやりたいか見失ってしまった部分もあります。
(少し詳しくお話しすると、良くも悪くも文科省の役割は「お役所仕事」という感じがして、現場と意識の差がある気がしました。私はずっと現場と行政の架け橋になりたいと思っていましたので国家という大きな立場から教育行政を考える、文科省と価値観が合わなかったのかもしれません。官庁訪問はマッチングの場なのでそれを知れたことも良かったことです。)

そして何より面接回数や「確定部屋」などの対応を見て文科省に対する不信感が募っていました。
だから「これでいい」と思います。
(負け惜しみだと思っていただいて構いません。)

ちなみに私は、文科省とは別の視点から教育課題に取り組む民間企業で内々定をいただきました。そちらでお仕事に励みたいと思います。




生きづらさ」「学びにくさ」を抱えた方に寄り添いたい。自分自身で環境を変えることのできない人も含めて、みなが自由に生きることのできる社会を作りたい。

内々定をいただいた場所も含めてすべては同じ思いから出発していたんだと思います。就活はこれで一区切りつきましたが

私の夢はまだまだこれからも続きます


最後に

拙い文章でしたが、ここまで読んでくださったみなさんにお礼を申し上げるとともに、これで私の官庁訪問体験記を終わります。

体験記はここまでですが、別の記事に、官庁訪問においてよく言われることに対して私なりの見解を示したものや、官庁訪問についての信憑性のない情報をまとめたもの、そして私の勉強方法について書いてます。(モチベーションが続く限り投稿します。今のところ半分くらい書いてます笑、この投稿にいいねが多かったら頑張って書き上げます。



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