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ショートショート: 告白雨雲

空は真っ黒に陰り、もうすぐ雨が降り出しそうだ。

冬めいた、寒い10月の終わり。何年も前に、金色にきらめくイチョウ並木を一緒に見に行ったことがあったね。今年は色付く間もないまま、寒空にひとり、場違いな緑の姿をさらしている。

呼び出されて向かったカフェの、テラス席にあなたはいた。両手をグレーのダッフルのポケットに入れて、寒そうに背中を丸め、テーブルの一点を見つめている。

「元気?」
声をかけると、あなたはゆっくり顔を上げた。
「うん。来てくれて、ありがとう」

向かいに座ると、外からの風が一層冷たい。きっと室内にいたら苦しくて、窒素してしまいそうで、この席にしたのだろう。

気持ちが変わってしまったんだ。
そう、あなたが話し出すのを、ただ私は待っている。なかなか口にしないから、ほら、雨が降ってきた。ザーザーと激しく。

雨雲は優しい。あなたが何を言っているのか、何も聞こえない。でも何を言っているのか、私には全部わかった。


※たらはかにさんの企画に参加します

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