和來花果（かずき かのか）
一瞬で読めちゃう、ベリーショートホラー！ １話完結です(*´∀`*)ノ ＃超短編小説 ＃創作大賞2024 ＃オールカテゴリ部門
『小牧幸助文学賞』応募作品をまとめています。
1分で読めちゃう気軽なショートショートホラー集です。 思わずニヤリ、ちょっぴりゾクっとするような小話たち。 １話完結ですので、どこから読んでも大丈夫！ リンクから気になるタイトルを選んでもよし、最初から（次話へ）をたどっていってもよし。 １話だけでも読んでみてね～(*´∀`*)ノ https://note.com/rich_moose624/n/n5df43c7562fb https://note.com/rich_moose624/n/na7fe54a65a51
「綺麗だなぁ……」 通りすがりの純和風の邸宅の生垣に、一輪の白い椿の花が咲いていた。 歩いて行くと、目の前に花がポロッと落ちてきて、思わず手で受けとめた。 「あ」 椿の花だと思ったのは、小さな小さな女の生首だった。 ＃超短編小説
遠足の写真を、クラスメートが指差した。 「ツインテールしてたんだね！ こっちの方がいいんじゃない？」 「え？ その日、コロナで休んでいたから行ってないんだけど……」と写真をのぞきこむ。 彼女の指の先で、わたしの顔をした知らない誰かが、にっこり笑っていた。 ＃超短編小説
旅先でふらりと立ち寄った骨董市。 ぴかぴか光る銀製のスプーンを見つけた。 なだらかな曲線、ちょうど良い厚み、美しい装飾。 かなり予算オーバーだが、もう二度と巡り逢えないだろう、と思い切って購入。 さっそくバニラアイスをすくって、口に運ぶ。 ペロッ！ スプーンに口内を舐められた。 ＃超短編小説
６時に起床、仕事。まっすぐ帰宅。 出張はなし。 休みの日にはわたしとデート。 退屈なほど、あなたの日常はいつも同じ。 GPSなんかなくても、あなたが浮気なんかしてないって分かってる。 でも……。 あなたの背中にひっかき傷が増えていくのは、なぜ……？ ＃超短編小説
夜中、信号無視して赤信号の交差点を右折したら、目の前に人影が。 ドンッという音とともに、フロントガラスがべったりと人型に赤く染まる。 けれど倒れている人はいない。 変だと思ったが、その場を逃げ出した。 翌日現場にもどってみると、歩行者信号の赤い人マークが割れて壊れていた。 その日から、俺の行く道は、いつでも必ず赤信号…… ＃超短編小説
校庭にあるブランコの左から二番目には、ぜったいに乗っちゃいけないんだって。 先生も言うし、六年生のお姉さんたちも言う。 他のブランコが並んでいてもダメ、休み時間が終わっちゃいそうでもダメ。 なんでかな？ しとしと雨が降るある日の昼さがり、さんすうの授業中に、お外からキィ……キィ……という音が聞こえてきた。 『きゃははははは……』 雨音に楽しそうな笑い声もまじっている。 窓からそっと校庭を覗くと、左から二番目のブランコだけが揺れている。 ――いいなぁ。わたしも乗りた
夢の中で「これは夢だ」ってわかることがある。 そして、ここは夢の中だ。 だから僕は宙に浮かぶ白い扉のドアノブに手を伸ばした。 ドアを開けたら目が覚めるはず。 カチャッ。 「ようこそ」 目覚めた僕を待っていたのは……………………………… 閻魔様。 ＃超短編小説
ちんとんしゃん、ちんとんしゃんと雨が降る 真夜中の森に 雨が降る 今夜は月も 雲の上 ちんとんしゃん、ちんとんしゃん 音に誘われ リスの子が 雨音 探して走ってく クローバー どんぐり 木の葉っぱ ちがうちがうと音が呼ぶ ちんとんしゃん、ちんとんしゃん 石ころ 枯れ枝 誰かが忘れた大きなシャベル こっちこっちと音が呼ぶ ちんとんしゃん、ちんとんしゃん 見つけた見つけた 音のもと それは丸くて白い されこうべ 丸くて白い されこうべ 雨粒あたって 音が鳴る 雨音
ピーポーピーポーピーポー……ファンファンファンファン…… ――なんだか外が騒がしい。事件でもあったのかなー？ 夕食のトマトに、ミルで塩をガリガリ振りかけて口に運ぶ。 ――アレ？ おかしいな ガリガリガリ、ガリガリガリ。 「おかーさーん、この塩、全然しょっぱくないんだけどー」 「あ。それ、良質なカルシウム。『もう少し背が高ければな～』って言っていたじゃない。背が伸びるよ―」 「へえ～」 ――背が高いと言えば同じクラスの田中君。今日は学校を休んでいたなー。 ………
彼と遊園地でデート！ メリーゴーランドで、木馬に並んで乗った。 「撮るよ～！」 隣の彼にカメラを向けると、彼氏と木馬が私を見て、笑った。 ＃オールカテゴリ部門 ＃超短編小説
「だいちゃん、なに見てるの？」 「あ、ママ！ 見て見て。アリさんが食べものを巣にはこんでいるんだよ」 「はたらきものだねぇ。だいちゃんも見習おうね」 アリは一様に白いぶよぶよした何かを口にくわえて、長い長い行列を作っている。 「何を運んでいるのかしら……？」 「ほら、アレだよ！」 大ちゃんの指さした先で、数匹のアリが大きな欠片をおみこしをするように運んでくる。 小さな爪のついた、あれはたぶん……だれかの小指。 ＃超短編小説 ＃オールカテゴリ部門
「ぜったい、離れないからっ！」と背中にしがみつく彼女を、ポイッと捨てた。 次の週末、合コンで出会った、かわいこちゃんをお持ち帰り。 服を脱ぎ捨て、抱き合ったとたん、彼女が悲鳴をあげてオレを突き飛ばし、帰ってしまった。 「くすくすくす……」元カノの笑い声が背後から響く。 パッと振り返ると、鏡に映った俺の背中で、元カノの顔をしたおできが嗤っていた。 ＃超短編小説
日本史の授業中、腹が痛くなって、 北東のトイレに駆け込んだ。 「ふぅ……」 カラカラカラカラ…… おっと、紙が終わっちゃった。 紙を交換して、 なにげなくトイレットペーパーの芯を 望遠鏡のように覗いてみたら、 向こう側から誰かが覗いていた。 #超短編小説 #オールカテゴリ部門
「ねえ、起きて！ 今日はなんの日でしょうかっ？」 彼女が耳元で楽しそうに言う。 またか……。 答えを外すと、彼女はひどく機嫌が悪くなるんだ。 仕方なく、寝起きの頭をフル回転させて考える。 彼女の誕生日じゃないし、 数えるのも面倒な付き合って何ヶ月記念日（毎月22日だ）でもないし、 初デート記念日でもない。 どうしても思い出せないので、あてずっぽうに答える。 「ええと～、初めて話した記念日……かな～？」 「ブッブー！」 彼女の声が２オクターブは低くなり、僕の体は金
深夜、舗装が傷んだアスファルトを自慢の四駆で爆走する。 大きな水たまりを発見！ 周囲に歩行者、なし！ ハイテンションで、水たまりに突っ込んだ。 バッシャーンッ！ 盛大に上がる水しぶきをバックミラーで確認。 …………あれ？ 変だな、誰もいなかったはずなのに、泥にまみれた黒い影が追いかけてくる……。 ＃超短編小説
