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保育士実技試験(言語)のオススメ練習法


実技試験(言語)の課題「素話」について

保育士実技試験3分野の中の言語の課題形式が、令和7年の試験から変更されました。
詳しくは前回の記事をご覧ください。

実技(言語)の試験課題である「素話」は、何も持たずに「お話だけ」で物語を語ることを言います。

実はこの「素話」、正しく練習をすればそれ程怖い課題ではありませんが、自己流で練習を進めてしまうと危険な場合があります。

そのため今回は「素話の練習方法」と「素話のスキルは保育の場で本当に必
要か?」についてお話します。


 
素話のオススメしたい練習方法


まずは、お話の台本を用意します。
一般的なストーリーであり、3歳の子どもでもわかる内容で構成したものを3分で話せるようまとめる必要があります。
 
台本は、主に購入する、絵本等を参考にしてご自身で作成する。と2つの方法があります。
ただ、台本の作成には時間がかかってしまうので、ネットストア等にて完成した台本を購入する方がよいでしょう。

私の執筆した『まんがでわかる 保育士 らくらく要点マスター2025年版』は、購入者特典として『3びきのこぶた』の台本を無料でダウンロードできます。
よろしければこちらもぜひご利用ください。


さて、台本の用意ができたらさっそく練習に入りますが、いきなり台本を覚える練習から始めることはオススメしません。

以下のような段階で進めていきましょう。

Step1 台本を見ながら声を出して読む
Step2 慣れてきたら台本を見ないで話す
Step3 子どもたちを意識して話す

素話は暗記の試験ではありません。
試験では「間違えずに話すことができるか」ではなく、「子どもが楽しく想像できるお話の表現ができるか」をみられます。
最初に表現の練習をしっかりしておくと、そのあとストーリーやセリフを覚
えることが楽になります。

子どもを楽しませる!

登場人物のセリフは、絵がなくても子どもが想像できるように、声を変え感情を込めて表現豊かに話す必要があります。
聞いている子どもたちは、オオカミやももたろうのセリフを楽しみに待っています。
そして、子どもに楽しんでもらうためには、自分も楽しまなくてはなりません。
緊張と不安で楽しむ余裕なんてない、とは思いますが、くりかえしの練習により自信がついてくると楽しめるようになってきます。

令和7年度試験に出題される3つのお話の各場面で、子どもを楽しませるポイントを少しお伝えします。

・ももたろう
ももたろうと鬼との対決は、子どもがわくわくする場面です。セリフはもちろんですが、犬が鬼に噛みつく場面での「ガブッ」という擬音を強調して言うと子どもが喜びます。
 
・おむすびころりん
穴からねずみの歌声が響いてくるところは、このお話の盛り上がりどころです。おじいさんが引き込まれるくらい楽しそうに歌いながら表現するとよいでしょう。
 
・3びきのこぶた
隠れた主役であるオオカミが登場すると、子どもは大喜びです。
いじわるオオカミが家を吹き飛ばすところは、「ふぅ、ふぅ、ふうーー!!」などとダイナミックに表現しましょう。

忘れてはならない大事なこと


練習を進めていくと「もっとすらすらと話さなければ」と、お話のスキルを上げることばかりにとらわれてしまうことがあります。
 
でも、皆さんが受験するのは「保育士になるための試験」です。アナウンサーを目指しているわけではありません。
たとえすらすらと話せても、聴いている子どもが想像できなかったら意味がありません。
「保育士試験で大事にしなければならないこと」を絶対に忘れないでください。

素話のスキルは将来役に立つの?


実際に保育の場で素話のスキルについて考えてみるとどうでしょうか。
一概には言えませんが、多くの保育園等では、素話よりも絵本や紙芝居の読み聞かせをすることの方が多いと思います。私自身も素話をした経験は、数えるほどしかありません。
では素話のスキルは将来役に立つのでしょうか。

素話のスキルは様々な表現の基礎になる
 
素話をする機会は確かに少ないとは思いますが、そのスキルは、保育の様々な場面で生かされています。
私が一番感じた場面は、保育士が行う劇でした。
私が勤めていた保育園では、行事の際に保育士が劇をしていました。
七夕やシンデレラの話を子どもたちに見せては喜んでもらっていました。の劇の土台となるスキルは、やはり素話であり、セリフや全身表現は素話の技術が役立ちました。
さらに劇のみならず、行事の司会進行の時、遠足のバスの中など、子どもに話をするあらゆる場面で、素話の練習の際に学んだ「子どもに伝わる話し方」が活用されていると私は実感しています。



未来へ向けて

受験者の皆さんは、将来のための練習よりも、まずは「合格すること」を優先に考えてください。
でも、今努力して手に入れたスキルは、いつか必ず役に立つ日がきます。

近い未来、皆さんが「3びきのこぶた」を子どもたちにお話しする時、「あの時は試験の練習がんばてよかったな」と懐かしく思い出せる日がいつかきますように。

関まりね
社会福祉法人(民間保育園)および東京都特別区(公立保育園)にて保育士として勤務。その経験から保育士試験対策学校にて、7000人以上の保育士輩出に携わる。現在は、保育士関連書籍の執筆ならびにフリーランス保育士として様々な保育施設にて保育を実施しながら、保育士の教育やサポートも行っている。
『まんがでわかる 保育士 らくらく要点マスター』『ほんとによく出る 保育士 一問一答&ベスト過去問』(いずれも実務教育出版)共著。

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