ズンドコピマズン#1「ピマズンアワードのこと」
はじめに
これは、ピマズンの裏話である。
もしかしたら時系列に記憶違いがあるかもしれないし、だいぶ真面目にふざけて書いているので、いちピマズンメンバーのドタバタ半フィクションと思ってくれたら嬉しい。
仕事では味わえないクリエイティブを。
当時デザイナーになって8ヶ月。力量不足、職場のフィードバックのなさ、自分の知見の狭さ、身動きの取れない社内体制、愛と正義、しょっぱい涙、それら全てをズタ袋に詰め込んで背負っていたわたしは、前田デザイン室のこの一文を見て入会を決意した。ほぼ即決だったように思う。それまでは、前田さんのことは鬼フィードバックの著者の真面目そうなデザイナーという誤解認識でいた。(実際はすごくユニークな方だった)
そう、仕事ではないからこそ、この一文に惹かれて入会したわたしは、前デのオリエンテーションもそこそこにとあるプロジェクトに参加することにした。
それがラクガキアートプロジェクト「ピマズン」である。
ピマズンとの出会い
前田デザイン室(通常前デ)は、いくつか大きなクリエイティブプロジェクトが同時進行している。表のピマズン日記であげたDOTOWN(こちらはリリース済だが)等が該当する。
その中でもピマズンはラクガキをデザインの力でアートにするプロジェクトである。
ラクガキはその人の本質でもあるとともに、世界で最も簡単なアートである。紙とえんぴつさえあればラクガキでもアートになることを証明することで、もっとアートを自由で身近に感じてもらうことを目的にしている。
砕けていえば、「オレのラクガキってなんかいいじゃん」とか、「へー、アートって自由でいいんだな〜やってみよっかな」みたいに感じてくれたらみんなハッピーだよねっていうクレイジーでロックな企画である。
長くなったが、参加しているのはこのラクガキアートをクラウドファンディングを使用してアートブックにするという企画、ラクガキアートブックプロジェクト「Pimazen(ピマズン)」なのである。ぴくちゃーおぶまえだしちずん。
※現在ラクガキアート活動「ピマズン」の一環として、アートブックプロジェクト「Pimazen(ピマズン)」が立ち上がっている。
前田デザイン室に入会した際、当初のピマズンメンバーはとにかくわちゃわちゃ焦っている印象があった。第一印象は「ちいかわみたいな人たちが焦ってるな」である。ワァ……ァ……。
「メンバーボシュウ!メンバーボシュウ!」
とにかくメンバーを募集していた。じゃあやるか。ちいかわを可愛がってやるか。コニュニティマネージャーの綾さんの「前デのプロジェクトは数年分の経験値が数ヶ月に凝縮されている」という言葉も魅力だった。
仕事の調整もさせていただいて、やることもわからずメンバーになった。2023年6月のことである。
なんやかんやあって
そも訳もわからないわたしを受け入れてくれいる時点でピマズンのちいかわたちは天使なのであるが、ここからは長くなりそうなので、ピマズンアワードのことに話を戻す。
なんやかんやあった。
アートブックプロジェクトは延期になっていたのだが、またスケジュールを決めて始動することになった。
ピマズンアワードの開催のきっかけは些細なものだったが、最終的にアートブック制作に向けたプロジェクトに対する前田デザイン室内での周知活動を目的として、
・前デの中でラクガキアートを募集
・受賞者にはなんらかの賞品
・前田さんにも参加してもらい、賞を選んでもらうことをコミュニティの中で中継する
・1人2作品まで提出可能
とした大まかな内容で開催をすることにした。
ピマズンの当初の構想として「前田デザイン室全員参加型のプロジェクトを目指す」といったものがあり、デザイナー以外でも参加ができるようにどんなツールでも制作OKというこだわりだけ持った。
思っていたより大きなイベントになってきたな
元々ピマズンアワードは9月入会の前デ新メンバーさん歓迎イベントを兼ねていた。楽しく誰でもやってみよう、ができる気軽なものとして考えていたのだが、途中にアートブックプロジェクトが再始動したことで、上記のアートブックの周知にアワード活動がシフトしてしまったのが誤算であった。
9月半ばの時点で開催の日程が決まったものの、細かい内容が詰められていなかった。
前田デザイン室のコミュニティは主にFacebookを利用しており、使用に慣れていない人も多い。イベントをやるにも周知に時間がかかるので、かなり前の時点で騒いでいないと開催することすらメンバーに届かないことがある。
今回はラクガキアートだが、作品の制作が早い人ばかりではない。
オンライン会場のセッティングや募集作品の集計を考えるとそろそろ要項の発表がないとまずい。
賞品とアートブック制作が確定した時は、「このピマズンアワード大きくしなきゃいけないなー」とちょっとだけビリビリした。延期も縮小も賞品なしもできたが、アートブックの日程を含めて延期は無い方がいいだろうと判断した。
マニュアルやレギュレーション、デザイン関連、賞品など自分1人で決めて進められることに限界があり、入会したての不慣れなメンバーも多く、指示ができるようなところまで持っていこうと思ったがアートブック制作でいっぱいで手が回らない。
割愛するがこの辺りもちょっと色々あって、じわじわ「ヤバイ」が染み出してきた。
周りのメンバーは何かできることはないかととても気にしてくれていたが、(なんとか)大丈夫と答えるしかなかった。持っているボールだけがどんどん膨らんでいった。
ぴくちゃんに泣きついた
連日熱が出て体力もカスカスになったころ、心配したサブリーダーのぴくちゃんとりーさんが連絡してくれた。
「アワードは全部任せたい」
前デのzoomのアトリエで、カスカスの絞りカスになったわたしはみんなの前でぴくちゃんに泣きついた。
ボロ雑巾みたいになっていたわたしがぴくちゃんに重い十字架を背負わせてアトリエを去った後、プロジェクトマネージャーのやっさんやクラファンリーダーの米ちゃん、しまちゃん、やぶさんが何やら会議をしたようで、翌朝起きるとなんだかアートブック制作やピマズンのInstagramの話やら、アワードの話やらが色々進んでいた。(翌日だった気がするがどうだったか)
みんな優しいな〜って思ったし、気を使わせてしまって申し訳ないなって思った。
ケガの功名
泣きついた結果こいつに任せておけねえと思われたのか、今まで以上にみんなが爆発的に活動してくれるようになり、1人で頑張れば持てるボールだったが、みんなで分担して運んでくれるようになった。
みんなに楽をさせたくて、楽をできる部分まで企画を進めたかったが、その自分の力を過信したエゴが逆に負担を増やすことになったかもしれないと思うと、このうんこたれとしか言いようがない。
そもみんなわたしより優秀なのだから、最初から相談しておけば話が早いに決まっている。
そうしてバナーを作ってもらったり、宣伝をやってもらったり、スプレッドシートを駆使してどうにかしてもらったり、あれよあれよという間に進んでいって、わたしはまあまあグータラさせてもらいながら当日になった。
アワード当日
ここまできたら楽しむしかない
ここまでくると成功するかな?と気を揉むことはなかった。
みんなの協力のおかげで作品点数は50作品を越えていたし、みんなの作品を見るだけで楽しかったし。自分の中(というかメンバーみんなそうだったと思う)あとは前田さんが楽しんでくれたら嬉しいなというくらい。
当日は事前に昼の15時くらいから漫画喫茶にこもった。
授賞式会場はFigmaで作成、zoomを使ってオンラインで21時から前田デザイン室に中継してはじまった。
進行はもう自由に話してもらって、プロジェクトの楽しい雰囲気を感じてもらいながら、寄せられた作品をみんなで自由に見てもらって順番に賞を決めたりしていった。なんだかんだ緊張しいなのでビールも飲んでいてあんまり覚えていない。
ピマズン日記には全員が1人1票授与できるみんなde賞っていうのがあったのだが、うえしんさんが「決められない」って言っていたのが印象深かった。それofそれ。
おわってみて思ったこと
とにかくみんなの作品を見てもらって、感想を言い合って、ピマズンってデザインで理論破綻の脱力系アートを目指したり結構すごいことをやっているなって思った。
デザインとは課題解決と言うもので、「自分がいいと思うクリエイティブの方向性」と、「課題解決に適したデザインの方向性」の着地点が異なることは良くあることだと思う。(ペーペーデザイナーがエラそうに言っている件マジで申し訳ない)
ピマズンのラクガキアートは、「お題を自分がいいと思う形に仕上げる」という贅沢なクリエイティブだと改めて思った。
この活動を見てぜひどんな人にもアートの一歩であるラクガキを気軽に描いてほしいし、自分のラクガキもアートにしてほしいなってピマズンに参加してくれたら嬉しい。
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