ディレクターになったデザイナーによるポートフォリオ迷走記|フィードバックはとても痛い
はじめに
こんにちは。タカハシと申します。7月からWeb制作会社に入社して、もうすぐ2ヶ月が経とうとしています。
このnoteは、ポートフォリオ制作に悩む初学者さん向けに書きました。デザイナーからディレクターに転職した自分がどのようにポートフォリオを制作したのか、備忘録を兼ねて書いています。正直わたしのポートフォリオは正統派の超絶技巧ではありませんが、「正統派じゃなくても転職できるんやな」という参考として見ていただければ幸いです。
結論:まずは転職時に使用したポートフォリオ
こちらです。
制作期間:3ヶ月(着手は1年以上前)
使用CMS:WordPress
使用テーマ:Arkhe(カスタマイズ)
希望職種:ディレクター
「デザイン性がないな」「普通だな」など人によって感想があると思いますが、希望先の会社にあった内容が作れたと言うことで、転職という課題が解決できました。
作るにあたって気をつけたこと
【自分にとって】
応募した会社で実現したいことを伝えられるようにする
どうにか困難も突破してくれそうという印象を持ってもらう
超絶技巧を目指さない
【見る人にとって】
必要な情報を取得しながら、最短で見て欲しいコンテンツに到達できること
応募先に負荷をかけない設計にする
TOP4セクションしかないシンプルな作りです。「興味持っていただけるのであれば下層ページを読み込んでくれるだろう」という目論見で、見てほしい実績以外は導入だけ記載しました。
全体の解説
▼実績は8件
8件は少ない方だと思いますが(←少ないと思っていましたが人によるようです!)会社に入ってやりたい事と自分が取り組んでいることの一貫性を出したいので、数を絞りました。その代わりに制作物以外ではポートフォリオ内でアピールする必要があり、TOPページをこのように作りました。
▼TOPページの解説
行きたい会社がWordPressメインだったのでどうにかテーマをカスタマイズし、やりたい形をMVに落とし込んで、コピーとリード文に力を入れました。
いざ実績
▼見せたい実績に8割の力を注ぐ
このページは実績がプロジェクト単位での公開になるので、とにかく初見でも分かりやすいように作らないといけませんでした。どちらかといえばプレゼン資料に近い作り方だと思います。
ここでも気をつけたことがあり、それは実績が自慢に見えないよう細心の注意を払うことです。どういうことかというと、主観的に「わたしってすごいんです」と表現しないようにすることです。
ポートフォリオを作って企業に提出する以上、いい人材だと思わせる必要があります。しかし転職用の場合、売り上げや賞をもらったことよりも、そこに至るまでどのように努力ができる人なのかを可視化することが大事です。
わたしの師匠には、職務経歴書作成時に「事実ベースで記載すること」と口を酸っぱくして言われているので、実績にも事実を記載することを務めました。
もちろん自分の意見を取り入れる必要もあるので難しいバランスとは思いますが、自分が取り組んで結果を出していることと、自分を良く見せようと実績を強調してしまうことは、根本的に違うと思うのです。
一番苦労した部分
上記でこのように(えらそうに)書いていますが、ついついいい感じに見せようとしてしまう現象、心当たりあります。
▼最初のリード文はなんかいい感じの軽い言葉だった
失敗したくないという思いから、最初はいい感じの軽い言葉でした。チャラ〜イ。それっぽくて具体性のない言葉ってどうしてポンポン出てくるんでしょうね。(自分への戒め)本質を突く言葉は絞り出してようやく出てくるくらいなので、不思議ですよね。うろ覚えなのですが、初回リード文はこのような記載をしていました。
コピー:「真面目に見えて、ユニークだ。」
販売や営業経験を経て洞察が得意になり、問題点を見つけ、裁量を持って行動することが好きになりました。職業訓練校やインハウスデザイナー、参加プロジェクトなど、今までの経験をもとに、デザインもできるWebディレクターを目指しています。
良くもなく悪くもなく……といった形です。
▼指摘してくれた和製ジェイソンステイサム
そんな折、ご縁があってポートフォリオの魔人ことトムさんにポートフォリオを見ていただく機会がありました。
スーパー忙しそうなGW前にお願いしたにもかかわらず、たくさんの愛あるご指摘をいただきました。(まず褒めから始めてくださるのがうれしい)最初のご指摘がこちらです。
総評!?こんなに丁寧にお伝えいただけるのか〜〜〜〜〜〜〜!!と感動しました。(続きもまだまだあった)そしてご指摘は的確で、「採用担当者によく思われたい下心」と「本当にやりたいこと」の摩擦が起こっており、キレイにまとめようとしているくせに時々自我が顔を出し、コントロールが効いていないので、本心を出さないまま無難なところに落ち着いたりして、軸がブレてしまうのです。
自分が疑問に思うところは見抜かれるんだと思い、取り繕った言葉で出すのは先方にも失礼だよなと思い至りました。思い至ったものの、まだいい印象をどうにかして残せないものかと出したものがこのあたりです。あきらめが悪い。
コピー:「ユニークで世界をちょっとフラットにする」
何かをつくりたい、提供したい企業が持つ独自のこだわりやユニークさを理解して、エンドユーザーが感じる「これいいな」へのハードルをフラットにするようなデザイン設計を行いたいです。フラットなものが増えることで、世の中をよく見渡して、あらゆる人が色々な選択ができるようにしていくことが目標です。
ちょっとだけ自分がやりたいメッセージが顔を出しましたね。でもまだ全方向にいい顔してますね。捨てきれない、欲張る気持ち……ッッッッ!!!!
まだいい感じの話にしようとしてるのバレてる〜〜
この時点でいきなりフラットという言葉を使った結果、混乱させてしまったので、自分には身体障害があることや、ハンデのないこだわり部分をディレクションすることで、結果を出していきたいという考えを伝えました。
しかし自分の中で本当にやりたいことはまだ封印したままで、自分の目指すものと組織に属すための社会性をどうやってそれらしく繋げるかで悩みました。その後何度となく練っては投げ、練っては投げ、その度にボコスカFBいただきながら、やはり装飾だけキレイに仕上げてもいけないのだと認識しました。
ある日思い切って、「ほんとはすごいアホなものだけ作っていたい…」ということ、ユニークさでクライアントのお悩みが解決できる、エネルギーをもったディレクションがしたいという下心丸出しのメッセージにしました。
▼自分が作りたいものを素直に
それをお見せしたトムさんの反応です。
えっ、これでいいの?!もうこれでいこう。そしてトムさんに褒められて有頂天になったわたしは、この御恩は忘れませんと、こっそり石川商店のサクサクしょうゆアーモンドを購入したのです。
トムさんのおかげで方向性はバッチリ決まりました。その後はいろんな方のアドバイスをもらいながら仕上げていきました。立場が違うといただけるアドバイスも違うので、意見は大事に聞いて、取捨選択していきます。
最後に株式会社NASUの前田さんにMVがアートディレクター寄りになっているとご指摘をいただいたのでそこを修正し、ポートフォリオ完成です。
さいごに
このように、一人でも多くの人にフィードバックをもらい、時には痛いところを突かれまくって、ようやく相手の立場に立った内容が書けたのです。相手は企業のカラーに合うかを判断したいわけですから、「自分ゴイスー」の概念はもはや作品で示して、相手の想像にお任せするしかないですね。まじでよくばりゾンビ殲滅すべし(自分へ)
フィードバックをもらうことは痛みも伴いますが、結果的にその痛みを乗り越えることで伝わりやすいポートフォリオに着地できました。ポートフォリオに悩む方にはぜひ、たくさんの意見をもらって、素直な内容で作ることをおすすめします!
おしまい。