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243 喜びとは平安な心の状態

 智慧のある人が味わう「喜び」とは、落ち着いて、リラックスして、何のこともなく平和な心でいられることです。人は悩んでいても、自分は別に悩まずに平和にいられる。人が嫉妬の炎を燃やしていても、自分には嫉妬する原因はないから平穏にいられる。喜びとは、そういう絶対的な平安な心の状態です。

 ある一つの出来事が起きたら、一人は混乱する。一人は怒る。一人は嫉妬する。一人は感情が舞い上がる。一つの現象にも、反応がいろいろあるでしょう。

 智慧ある人は、何が起こっても、「ああなるほど。そういうことか」と、見ているだけ。それは、仏教で言う至福感、幸福感です。安定した心の波です。

 智慧というのは、ちょっと強引にはたらかせないと、現れてこないものです。無常の角度でものごとを見て、無我の角度でものごとを見て、その見方で生きてみようとする。無常、無我の心で行動する。それが、智慧の現れている状態なのです。

『一瞬で心を磨くブッダの教え』第4章 幸福に生きるための秘訣《慈しみ》アルボムッレ・スマナサーラ サンガ出版【ブッダの実践心理学第四巻2008年 p31】

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