73 自力・他力の思考を捨てたところに道がある

 自力・他力というのはものすごく差別的な思考で偏見ですよ。自力というのは自分だけでぜんぶやるという意味ですが、できるわけないでしょう? 無智で煩悩のどん底にいて右も左もわからない人が、どうやって自分で道を開くのでしょうか? 他力といっても、我々には他人をどうすることもできないでしょう?「私が、私が」という自力思考では何も得られません。「助けて頂戴」というのでは一ミリも進めません。どちらも邪見なので、救われません。自力・他力という思考を捨てたところに、道があるのです。自分を投げ捨てるというのは、自我を捨てるということですよ。自我を捨てる道というのは、修行の結果を表す言葉です。だからずっと修行して、修行してそれ以上どうにもならないところで、じゃあもう諦めた、と全部放棄しちゃうんですよ。そこで、ありありと道が見えてくる。自力・他力ではなくて、一言「道」といったほうが正しいんですよ。老子の言葉にあるように。道ですよ、結局は。
『一瞬で心を磨くブッダの教え』第2章 仏教の教えを理解する《仏教》アルボムッレ・スマナサーラ サンガ出版【ブッダの歩き方 立松和平氏との共著 (2006年) p198】

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