44 「自分探し」から争いが生まれる
皆、何かしら、「私は何者か?」と探し求めています。
自分は何か偉い人物・尊い存在であると、そう思っているのです。いわゆるアイデンティティ(自己同一性、変わらない自分)を強化したくて、安定させたくて必死なのです。
皆、愚かで無智なのです。無智の結果は当然、自業自得なので、人生の道のりは何一つうまくいかなくなっています。「自我」を追い求めているせいで、世界はハチャメチャで、苦しみから苦しみへ、悩みから悩みへと、恐ろしい状態です。
自分のアイデンティティを掲げ、世界を相手に闘うのです。家族の中でも互いに闘って、社会とも闘う。ですから、それとはまったく正反対の道として、「私は何者にもあらず」と理解する必要があるのです。
事実、私とは何者でもありません。最初はすごく実践しにくいでしょう。それで構いません。
なぜ実践しにくいのかというと、それは自分が自分のことを偉いと思っているからなのです。実践すれば、そういう感情・事実を発見し、智慧が現れてきます。
『一瞬で心を磨くブッダの教え』第1章 私たちの悩みを解決する《自我》アルボムッレ・スマナサーラ サンガ出版【慈悲の瞑想 (フルバージョン〕 人生を開花させる慈しみ p233】