170 子育ては人格改良のチャンスでもある
自己中心的で、わがまま好き勝手で、他人に対して何の思いやりもない人間にとっては、子供が生まれることは革命的な出来事です。人格が変わるのです。自我が薄くなるのです。慈しみ、思いやり、やさしさなどの性格が表れるのです。この点では、心の成長です。
愛着でなく、慈しみで、憐れみで、献身的に子育てすることは、人格改良に役立ちます。仏教はこれだけは評価します。
親が慈しみで子育てをして独立させること、子供は親を尊敬すること、その両方が、親子ともどもの人格改良の糧になります。子孫をつくることに、それ以外の意味はありません。しかし、愛の代わりに愛着が生まれると、子供が自分の所有物だと勘違いすると、子育ては人格改良の点でも裏目に出てしまいます。
『一分で読むブッダの教え』第3章 人生の悩みは、仏教で解決する《子育てと親孝行》アルボムッレ・スマナサーラ サンガ出版【欲ばらないこと 役立つ初期仏教法話13 (サンガ新書018,2011年) p169】