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49 自分が感じた主観は、客観的事実ではない

 慢(まん)の意味は「比べること。計ること」です。「私がいる」ということを前提として仮定し、すべての情報を比べてみるのです。

 例えば「この音はきれいであの音はきれいではない」というのは、私がいなければ、比べられませんね。「『私には』この音はきれいです。『私には』この音はきれいではない」ということなのです。

 多くの人は、その「私には」ということを忘れて、「この音はいい音です。この音はあまりよくない」と、知識人っぽく断言的に喋るのですが、そこにあるのは、その人の主観なのです。決して、客観的な意見ではありません。「これはおいしくて、あれはおいしくない」ということは、そう言っている人の意見であって、客観的事実ではありません。

 では、他人も食べてみて、同じことを言うならば、それで客観的な事実になるかというと、そうはなりません。それは、もう一つの主観というだけのことです。ですから人間にとっては、主観のみであって、客観的な事実はないのです。

『一瞬で心を磨くブッダの教え』第1章 私たちの悩みを解決する《自我》アルボムッレ・スマナサーラ サンガ出版【ブッダの実践心理学 第六巻 縁起の分析p94】

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