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270 確固たる実体があるという誤解

 一切の現象には、何か種みたいな、芯みたいなものは、どこにもありません。ぜんぶつかみどころのない、何かの幻、幻覚みたいなものです。

 しかし、人は「何かあるんだ」と思っています。「実体があるんだ」と信じています。

 自分に、ものごとに、絶対に変わらない、霊魂・魂・自我・実体があると勘違いしています。たいていの人は、自分に霊魂があると思っていたりするでしょう? 実体がある、魂があると思うでしょう? それは、かなりの捏造です。

 顛倒です。あべこべです。しかし、ぜんぶすっかりあべこべですから、自分にとってはあべこべに感じないことも、顛倒のポイントです。お釈迦さまが言うこと、真理のほうが変ではないかと思ってしまうのです。なぜなら、

いつも「自分」という気持ちがあるでしょう?「あっ、ずっとありますよ」と思うでしょう? すると

「自分という絶対に変わらないなにかはありませんよ、なんて、そんなわけがないでしょう。どうしてそんなに、自我はない、自我はないと興奮して力説するのですか」と思うわけです。

『一分で読むブッダの教え』第5章 仏教が教える「生きること」の本質《無常》アルボムッレ・スマナサーラ サンガ出版
【あべこべ感覚 役立つ初期仏教法話7」(サンガ新 022, 2008年) p99】

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