217 私というもののけに気づく
何かに触れる手の部分に awareness を入れる。日本語で言えば気づきを入れる。すると物体が物体に触れたと感じます。「私」を触られたという感覚はそのあとで生まれます。触られてから「私」が現れるまでは、けっこう時間がかかります。けっこうといっても、ナノ秒(10億分の1秒)の世界です。触られてから私が現れるまでは100~200ナノ秒だと思います。マインドフルネストレーニングをしていない人は、触られた瞬間に、すぐ「私」が生まれます。触られただけで「え、何!」と、自我も怒りも驚きも生まれるのです。瞬間的に生まれます。しかし、マインドフルネストレーニングをすると、触られてから「私というもののけ」が現れるまでには、ある程度の時間がかかるとわかります。つまり、訓練していくとプロセス、順序が見えてくるのです。マジックと同じです。お客さんはマジックを見たくて、驚きたくてやってきます。マジシャンはマジックを見せて、みんなを驚かせます。しかし、ネタがばれてしまったら、どうでしょうか? 驚きは消えてしまうでしょう。もう一度驚きたいと思っても、再び驚くことはけっしてできません。からくりがわかったら終わりです。
『一瞬で心を磨くブッダの教え』第4章 幸福に生きるための秘訣《今を生きる》アルボムッレ・スマナサーラ サンガ出版【仏教と科学が発見した 「幸せの法則」 - 「心」と「私」のメカニズムを解き明かす p51】