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301 自我の錯覚の理解が幸福につながる

 関係ない他人事なら、悩み苦しみがないのです。自分のこと、「私のもの」に関することなら、ひどい悩み苦しみになります。

 それをお釈迦様は、ぜんぶまとめておっしゃったのです。「すべての苦しみがたった一つの言葉、『私の』というところから生まれるのだ」と。

 そうは言っても私のお父さんとお母さんは、「私の」両親ですし、私が買ったブランドのカバンは「私の」カバンです。「私の」ということは消せませんから、「『私の』というその『私』とはなんぞやと客観的に調べてください」とお釈迦様はおっしゃいます。「調べれば、『私』というのは幻覚だということが見えてくるのだよ。それで心が落ち着いて究極な幸福になりますよ」という教えになるのです。

 すごく大事なポイントですから、覚えておいてください。「私の」、この一つの言葉で、ものすごい苦しみが生まれます。そしてお釈迦様は、その苦しみを、ほんの少しの言葉で、すごい治療方法で解決してくださるのです。

『一分で読むブッダの教え』第5章 仏教が教える「生きること」の本質《自我》アルボムッレ・スマナサーラ サンガ出版
【欲ばらないこと 役立つ初期仏教法話13 (サンガ新書018,2011年) p135】

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