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251 幸福と苦しみ、相反して混乱する人生

 「どうしても生きていきたい」と言う人は、勘違いしています。その言葉の本当の意味は、「どうしても苦しみたい」ということになるからです。

 生きることは苦の連続なのですから。つまり、人は「どうしても苦しみたい」と思っているのに、「苦しみが嫌だ。私は幸福になりたいのだ」と言って、実にいろいろなことをしている、ということです。

 本当は、「幸福になるために、どうしたらよいでしょうか?」という問いの答えは、「生きることはあきらめなさい」ということになります。言い換えれば、「欲を捨てなさい」ということです。この矛盾点をしっかり理解してください。

 人が「生きていきたい」という思いで、さまざまな欲を追いかけることは「苦しみを追いかけること」なのです。どんどん、どんどん苦しみへ、不幸へ向かうことなのです。つまり、私たちは「幸せになりたい」と思って、まったく相反する行動をとっているのです。

 服に火がついた人が、その火を消すために燃え盛る炎の中に飛び込むようなものです。ですから人間は、仏道を歩まない限りは幸福にならないのです。

『一瞬で心を磨くブッダの教え』第4章 幸福に生きるための秘訣《慈しみ》アルボムッレ・スマナサーラ サンガ出版【欲ばらないこと 役立つ初期仏教法話13 (サンガ新書018,2011年) p94】

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