20 「私は正しい」と思うから怒る
怒らないほうがよいとわかっているのに、我々はなぜ怒るのでしょう。
人間というのは、いつでも「私は正しい。相手は間違っている」と思っています。それで怒るのです。
「相手は正しい。私は間違っている」ということも答えではありません。事実は、私も相手も不完全です。したがって、「正しい、間違っている」という判断は成り立たないのです。
私も、他人も、誰も完全ではありません。「完璧にうまくいく」ということはあり得ないのです。
もちろん、物事をいい加減にしてしまうのはよくありません。ベストを尽くすのは当たり前で、「一応、精一杯やりますけど、結果はわかりません」という知識的で、高度な生き方がよいのです。
このように生きるなら、怒りの現れる余地はありません。「自分は完全だ。完璧だ」と思う無知な人は、自分の思い通りに事が運ばないからと始終怒って、そのたびにひどい目にあっています。それはバカバカしいでしょ? どう見ても、すごく無知な生き方をしているのです。
『一瞬で心を磨くブッダの教え』第1章 私たちの悩みを解決する《怒り》アルボムッレ・スマナサーラ サンガ出版【怒らないこと 役立つ初期仏教法話1 (サンガ新書 003, 2006年) p32,41】