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『刑事マードックの捜査ファイル シーズン1 #10 高慢の反抗 Child Play』 (1591文字)

 カナダの大ヒットミステリ『刑事マードックの捜査ファイル』シーズン1の第10話「高慢の反抗 Chile Play」の感想を書きます。

 邦題「高慢の反抗」は、分かりにくい題名だと思います。
 この邦題は、「高慢な振る舞いをしている偽善者に対する反抗」と解釈するなら分かりやすいと思いますが、題名としては長すぎますね。

 原題の「Child Play」は、この事件の背景を言い当てています。

 なお、私はこういう種類の内容の物語を嫌います。
 しかし私が嫌いだとはいえ、社会的啓発(「けいはつ」知識をひらきおこし理解を深めること。)には必要な内容だと思いますので、このドラマの価値は高いと思います。

 ドラマの冒頭部分で、マードック刑事はブラッケンリード警部の双眼鏡を勝手に使ってサーカム・スコープ(説明は次の段落で。)を作っており、クラブツリー巡査とともに試しています。
 マードック刑事は、サーカム・スコープについて「サーカムはラテン語で『周囲』、スコープはギリシア語で『見る』だ。」と語っていますが、名称もその意味も確認できませんでした。
 サーカム・スコープは、砲隊鏡(artillery mirror)と同じものだと思います。プラモデルでタミヤの88ミリ砲をご存知の方なら、接眼レンズから上方に伸びた筒の先に対物レンズがついている潜望鏡風のものが三脚が描かれている箱絵をご記憶でしょう。あれです。
 このサーカム・スコープなら物陰に隠れて、相手を見ることが可能です。

 前置きが長くなっていますが、今回はモンタージュ写真の元になったような道具がでてきます。
  モンタージュというのは、「montage」(フランス語)で、「映画・写真で、いろいろの断片を組み合わせて、一つの場面・写真を構成すること。そうして作ったもの。」を言います。
 でも、私たちが知るモンタージュ写真は、警察が目撃者から犯人の人相を聞き取り、それを再現する写真を使った道具のことで、昔の警察ドラマでは「目はもっとつりあがっていて、鼻はだんごっ鼻、口は口角が下がっていて、顔は角張っており、髪はパンチパーマで・・・。」等と目撃者が言う特徴を元に写真の部品を組み合わせて似顔絵を作るのを想像するでしょう。
 マードック刑事は、それを紙のパーツで行っていました。
 その仕掛けは次のとおりです。
 人の肩から頭の上まで水平に6等分して、各々にいろいろな種類の顔の部品を書いておき、それらの部品を選んで目撃された者の顔を再現しています。
 その部品(紙のパーツになっている部品)は、頭の上から順に、(1)頭頂部付近。ここはヘアースタイルや髪の色などが分かります。(2)髪の生え際。(3)目。(4)鼻。(5)口。(6)首と肩の上部。ここは衿(えり)など服装が分かります。

 また、ドラマの中で『ミカド』を観劇したという台詞がありました。
 『ミカド』二幕物のコミック・オペラで、世界的にヒットした演劇だそうです。このヒットにより、Mikadoという単語が日本の代名詞として広まったそうです。
 そういえば、シャーロック・ホームズも日本の格闘技を習得しているとドイルがその小説内に書いていましたっけ。この時代、嬉しいことに欧米では日本に人気があったようです。
 ただ、『ミカド』の内容があまりにも日本の天皇を笑い者にしているとして駐英日本大使が上演差し止めを試みたが成功しなかったといいますから、日本人である私(私は反日ではありません。)としては嬉しいとはいえないです。

 今回このドラマについて書くことはこれくらです。

 ただ今回は、ブラッケンリード警部の人情味と正義感の強さが表面化したことは書き添えておかなくては、と思います。
 ブラッケンリード警部の奥さんがことのことを知ったら、旦那に惚れなおすでしょう。

#マードック #サーカム・スコープ #ミカド

 

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