『刑事マードックの捜査ファイル シーズン5 第4話 爆破テロ事件』 (1401文字)
『刑事マードックの捜査ファイル』、今回は爆弾犯とアナーキスト(anarchist 無政府主義者)が登場します。
この回の終わりに、この2年後にマッキンリー米大統領マッキンリーが暗殺されたと表示されます。
マッキンリー大統領暗殺は1901年なので、このドラマの時代は1899年頃ということになります。
このドラマでは、時折時代設定を推定させる事実が示されたり語られますが、今回もそうでした。
ところで、今回登場するアナーキストについて調べてみました。
ヨーロッパで産業革命が各国に拡散した後、資本主義経済によって起きる矛盾(貧富の差の拡大。経済格差。)を一気に解決してしまおうということで、いくつかの思想が登場します。
まず初期社会主義(空想的社会主義)が現れます。この思想の思想家では、フランスのサン・シモンやフィーリエ、イギリスのロバート・オーウェンがいます。
これを批判したのがカール・マルクスのグループです。これがマルクス主義(科学的社会主義)です。
さらに、マルクス主義に反対する社会主義思想としてアナーキズム(無政府主義 anarchism)が登場します。代表的人物はフランスのプルードン、ロシアのバクーニンです。
なお、共産主義者も社会主義者とはほぼ同じだと言われます。
共産主義と社会主義とを比べると、共産主義の方が厳しくて、社会主義の方が少し緩いような印象があるかもしれませんが、ほぼ同じのようです。
こんな小話があります。
「ピンクってどんな色?」
「ピンクは薄い赤、つまり社会党だ。」
ドラマの登場人物の会話ではマルクス主義者(共産主義者)と社会主義者とアナーキストとを区別しています。
でも、三者は同じように暴力革命を目指しているように扱われています。
今回もドラマに同時代の有名人が登場します。
今回は、アナーキストのエマ・ゴールドマン( Emma Goldman [1869年6月27日 - 1940年5月14日]。リトアニア生まれ。アメリカで活動したアナキストでありフェミニスト。)でした。
また今回は、アメリカの情報機関のエージェント(agent 諜報員。以前、南北戦争の金塊捜査のときに登場した奴です。)とカナダの情報機関のエージェント(確かシーズン1の最終話が初登場だったと思います。)が登場します。
アメリカ人エージェントがトロントの第4分署で偉そうな口を叩いて出て行った後ブラッケンリード警部は「内乱していたくせに。」と言い放ちます。
この内乱とは南北戦争(1861年4月12日 – 1865年4月9日)のことですが、確かに正論ですね。この間まで内乱だった国が、そして当時の大統領(リンカン)が暗殺された国が、偉そうに他国の治安をとやかく言うとはブラッケンリード警部にしてみたらちゃんちゃらおかしいのでしょう。
この2年後、皮肉にも当時のアメリカ大統領マッキンリーはアメリカのバッファロー(Buffalo)で暗殺されます。
今回の事件は、マードック刑事が潜入捜査したり、クラブツリー巡査が被疑者を尋問するなど、いろいろ目新しい変化が折り込まれています。
なお、視聴者は多分予想していたと思いますが、グレース検視官とクラブツリー巡査とがいい感じになりつつあります。
そうそう、クラブツリー巡査はまた小説を書くそうです。