『刑事マードックの捜査ファイル シーズン2 #14 第1話 大西部の伝説 MId Mid West』 (2379文字)
今回から、カナダの大ヒットミステリ『刑事マードックの捜査ファイル』のシーズン2に入ります。
#番号はシーズン1からの継続した番号です 。
さて、シーズン2の第1話(#14)の題名は「大西部の伝説 Mid Mid West」です。
邦題は、今回の事件の舞台と、事件の契機(「けいき」きっかけ。)にちなんでいます。
原題のMid Mid Westは、「中西部」のことです。
これは、カナダの中西部ではなくて、アメリカの中西部です。
今回は、次の二人の有名人が登場します。
(1) バッファロー・ビル
1846年生1917年没、のガンマンであり、興行主でもあります。
今回の事件は、彼が興行主となっている「バッファロー・ビルのウエスタンショー」で起きました。
(2) アニー・オークレイ
1846生1917年没、の射撃の名手です。映画『アニーよ銃をとれ』のアニーはこの人です。
ショーの最中に、出演者が撃たれて死亡します。この「バッファロー・ビルのウエスタン・ショー」には、ブラッケンリード警部、マードック刑事、クラブツリー巡査、オグデン検視官らが偶然観に来ており、みなの目の前で殺人が起きます。
「バッファロー・ビルのウエスタン・ショー」は、サーカスの興行みたいな感じで、テントや小道具や舞台装置などを持って各地を移動し、それらを興行する土地の広場に展開します。
興行では、あちこちで発砲音が聞こえます。サーカスではあちこちで獣の咆哮(「ほうこう」たけりさけぶこと。)が聞こえるのと似ています。
ところで、映画の西部劇では銃を発砲すると銃口から弾丸が出た後にたくさんの煙も出てきます。
これは、発射薬に黒色火薬を使っていたからですが、その後無煙火薬が使われるようになり、発砲後の煙が極端に少なくなります。また、無煙火薬の爆発力は、黒色火薬より強力でした。このことが、銃の動作の自動化が進みます。
この銃の自動化は、発射薬(火薬)の進化と、薬莢の発明など多くの要素が関わっているので、その経緯は複雑で理解するのに苦労します。
話を事件に戻します。
バッファロー・ビルは、本名ウィリアム・フレデリック・コーディ(William Frederick "Buffalo Bill" Cody) は、1846年にアイオワ準州([准州、じゅんしゅう、英: territory など]は、州による連邦国家において州に準ずる構成主体ないし本土未編入の自治領的な部分であす。 州より自治権が弱いためにこう呼ばれますが、「領土」(属領、自治領などの意)を意味する英語を日本語的に意訳・解釈したもにのであり、その定義は各国においてまちまちです。)で生まれました。ドラマでは、40代中盤から50代中盤の年齢のようです。
1883年に「バッファロー・ビルズ・ワイルド・ウエスト・ショー」を立ち上げました。
『刑事マードックの捜査ファイル』の時代は19世紀の終わり頃です。
1893年に「西部時代は終了した。」と言われたので、今回の事件の時代は西部時代が終わった頃のようです。
アニー・オークレイ(Annie Oakey)は、1860年にオハイオ州に生まれました。彼女は銃の腕前もよく容姿にも恵まれていたので、いろいろなショーに出演しています。
アニーは、1885年にスカウトされて「バッファロー・ビルのワイルド・ウエスタン・ショー」に出演しました。
アニーの曲打ちは、人がくわえた葉巻を撃ち落としたり、人が横向きに持った(トランプカードの薄い面を横と言っているようです。)トランプカードを撃ち落としたりしました。
アニーは、「女性が自己防衛のためにも銃を使えるべきだ。」という考えの持ち主だったそうです。
現在、アメリカでは悲惨な銃犯罪が起こる度に「全米ライフル教会」を槍玉にあげて銃規制が叫ばれますが、腕力で劣る女性が自己防衛する手段として銃を重視するというアニーの考えはほとんど紹介されることがありません。
ところで、ブラッケンリード警部は、奥さんが強く禁酒を求めることから、禁酒します。
しかし、ブルネット(brunet 黒みがかった色から褐色までの色をいいます。)で美人で意志の強そうなアニーからの執拗な飲酒の誘いに負けてしまいます。
はじめはカップで飲み、そのうち瓶に口を付けてがぶ飲みをはじめます。
とうとうブラッケンリード警部はアニーのことを「ダーリン」と呼ぶようになります。かなり酔っていますね。
ついにはブラッケンリード警部は、アニーの体を添える指導を受けつつ安全場所でライフルを撃ちまくります。
現在私は断酒中ですが、アニー・オークレイから誘われたら、その酒を飲みますね。
そういうこしているうちに、第二の射殺死体が発見されます。
ジュリア・オグデン検視官の検視によると、弾丸は、第二の射殺死体の左鎖骨から入り三角筋を抜け肩甲骨を砕き心臓に到達しています。
これは、被害者が立っていたとすると、真上から撃たれたことになります。
なお、クラブツリー巡査は、第一の殺人の現場周辺から遺留物を持ち帰り仕分けする際、マードック刑事発明のセロテープ様のテープを使用します。セロテープもマードック刑事が元になっているという設定なんですね。
あれやこれやで、マードック刑事は事件を解決します。
この結末は、もはや西部時代の問題解決手法は現代は通用しない、つまり「西部は遠くなった」という郷愁(「きょうしゅう」過去をなつかしむ気持ち。)を感じさせます。
ところでブラッケンリード警部は、ブルネットで美人で意志の強い女性が好みのようです。
まず、奥さんがそういうタイプですし、このあとの回でも同様の女性に好意を見せます。
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