
フジテレビジョン株式会社は今年(2025年)が正念場 (2113文字)
2025年1月25日(土)現在、フジテレビ(株式会社フジテレビジョン)で放送されるテレビCMの多くがACジャパン(公益社団法人ACジャパン)のものに差し替えられています。
今までは、広告主(CMスポンサー)の都合や災害時の場合にはCMをACジャパンに差し替えられることがありましたが、これは当該広告主にスキャンダルなどの問題があったり、災害時の場合は悲惨な状況があるのにテレビで賑やかなCMを流すのは国民感情にそわず当該スポンサーの企業イメージを損なうということ等から行われていました。
これらの場合は、広告主の都合によるCM差し替えですから、CMの広告料(ここには広告代理店の手数料も含まれています。)は広告主(スポンサー企業)から広告代理店(株式会社電通や株式会社博報堂)を経由してメディア(ここでは放送局)に支払われていました。広告代理店はこの広告料から手数料を取り、残りの金額をメディアに渡します。
しかし、今回はメディア(放送局)自体が「①性的スキャンダルで極めて悪し評判が立っていること。②①に伴う問題に対する経営者の態度が社会的妥当性を欠いていること。③①に関して経営者が事実の隠蔽を行っていた(と本人が語っています。)。」ことなどから、広告主(スポンサー企業)は、「フジテレビから自社や自社製品のCMを放送されると、自社の企業イメージが損なわれる。」ということからCMの差し替えをフジテレビに求めた結果だといいます。
つまり、ACジャパンの差し替えは広告主(スポンサー企業)側の問題でもないし、災害を原因としているわけでもありません。
そのため、フジテレビはCMを差し替えたスポンサー企業に広告料を返還することにしたのだそうです(このことが予め合意されていたかどうかは不明です。)。
ここまでは、ごく普通の取引慣行(商習慣)や法律の知識ですんなり飲み込めます。
問題なのは、「広告主(スポンサー企業)・広告代理店(電通や博報堂)・フジテレビ(他の放送局も)」の取引が、契約書を作らず口頭で行われていたということです。
テレビで流されるCMの金額は安くないでしょうし、人気番組なら莫大なものになるでしょうから、それを口約束で取引するなんてちょっと信じられませんが、放送界の商取引ってそういうことが続いていたのだそうです。
契約書を作らないことで、収入印紙代の節約と当事者の記名等の手数と時間の節約にはなるでしょうが、取引額が巨額なのにその契約を口約束で締結するなんて当事者はかなりの冒険家だと言えるでしょう。
現代に生きるビジネスマンのやることとは思えません。
こういった口約束での取引は、過去のものはいいとして、問題は今のことです。
ACジャパンの広告に差し替えたことにより、放送されなかった広告料をスポンサーに返還する件ですが、もしフジテレビの資金不足等から広告主に広告料を返還できなかった場合、スポンサーはフジテレビを訴えて強制執行しようとすると思います。
となると、元々の広告の契約が口約束だったことが問題になってきます。
というのは、フジテレビがスポンサーにいくら返還しなければならないか証明する物(契約書等)がないことで立証が難しいのではないかと想像されるからです。
仮に、契約した当事者(広告主と広告代理店とメディアの担当者ら)の証言等で判決することができたした場合ですが、「被告(フジテレビ)は原告(スポンサー)に〇〇〇円支払え。」という原告勝訴の判決が出ることになりましょう。そしてその判決が確定したら、フジテレビは強制執行されるか、破産することになります。
それはそれとして、フジテレビジョンの決算期は3月末日ですから、株主総会は6月中に行われるはずです。
現在、この株主総会に出席することを目的にフジテレビの株を買っている人たちがいて、そのためフジテレビの株価が上がっているそうです。メディアに対する遺恨を持っている人は少なくないので、「半死半生のフジテレビの終わりを見てみたい。」と思う人がいても不思議はありません。ただ、フジテレビジョンの株は換金(現金化)できなさそうに思います。
このフジテレビジョンの株主総会の結果にも関心がありますが(私はフジテレビジョンの株を持ていないので株主総会に出席できませんが。)、3月末日の決算期の株主名簿に外国人株主がどのように記載されているのかにも関心があります。
現在フジテレビは、法律の規定以上の外国人株主がいるそうです。今の段階では、この外国人株主の一部を株主名簿の記載拒否という形で議決権のある外国人株主を法律の制限内に押さえるという操作をしているようですが、それをどういう手法で法律の制限ないにするのか、向学のためにぜひ知りたいものです。
もっとも、現在フジテレビから退社する職員が増えているそうですから、「株主総会の準備をする職員が足りなくて、株主総会を開催できない」という場合も考えられます。
フジテレビジョンは、今年(2025年)が正念場です。