アメリカTVドラマ『特攻ギャリソンゴリラ』を語る
『特攻ギャリソンゴリラ』は第二次大戦中のヨーロッパを舞台にしたアメリカテレビドラマです。
今から考えると、無茶苦茶な設定でした。まず、ゴリラ(ここでは、暴力的な男性とかギャングといった意味です。)達は4名ですが全員犯罪者で特赦を報酬に、ドイツ軍に対する破壊活動を継続的に行います。隊長のギャリソン中尉は軍人ですが、ゴリラ達とともに軍服を着ないで民間人に粉して破壊活動をするので、ドイツ軍に捕まったらスパイとして処刑されてしまうでしょう。スパイとして処刑されることはゴリラ達も同じです。
このドラマは、「ドイツ軍相手なら何をやっても許される。」というアメリカの戦勝気分の中で企画されたのだろうなぁと思わせる設定や描写が多く、ギャリソン中尉とゴリラ達は、ジュネーブ条約などからするとまったく条約違反であり、戦争犯罪人として処分されても仕方ないことを繰り返します。当時は、それが「正義であり痛快」だったのでしょう。逆に、ヨーロッパでは日本軍相手に破壊活動をするテレビドラマが放送されウケていたのかもしれませんね。
とにかく、同じ第二次大戦中の対ドイツ軍戦闘ドラマでも『コンバット』や『ラットパトロール』とはかなり趣を異にしています。
今でも記憶している話がありまして、それは、何かの文書を偽造してドイツを混乱させる作戦で、第一候補の偽造犯が戦闘中に撃たれて死んでしまいます。彼はゴリラの一人カジノの親友でした。カジノは悲しみますが、作戦は遂行され第二候補の偽造犯がやって来ます。この第二候補は第一候補に比べるとかなり質が落ち、銃もまともに撃てません。彼は、ギャングでも常習的犯罪者でもないため、ゴリラ達とどうしても馴染めません。また、天才肌でもないためゴリラ達のアジトではずっと偽造の練習をしています。足手まといにしかならないと思っているゴリラ達は、この第二候補に冷たく当たりますが、ある夜ゴリラの一人が第二候補に「一体なんだって志願してここに来たんだ。銃だって満足に撃ったことないんだろう?」と聞きます。すると第二候補は、病気の子供の治療費のために偽造に手を染めたこと、自分が刑務所から戦地に行けば家族も少しは肩身の狭い思いから解放されるのではないかと思った。と言います。
しんみりとその話を聞くゴリラ達。
作戦が開始され、第二候補は現場で大急ぎで文書を偽造します。そして、偽造を完了し退却するとき、第二候補は逃げ足が遅く敵に囲まれピンチに陥ります。すると、ゴリラ達はあんなに冷たくしていたのに助けに来ます。
特に第一候補の親友だったカジノは、吹っ切れたように第二候補を助けます。
そして、アジトに帰り着いたとき、ゴリラ達は隊長のギャリソン中尉に第二候補を仲間にすることを進言します。しかし、ギャリソン中尉は「それはできない。彼は特赦になった。もう刑務所に帰らなくていいんだ。」と言います。それを聞いたカジノは「おおっ。上(軍の上層部)も話せるじゃねぇか!」と喜びます。
この回だけは、いい話として未だに記憶に残っています。
以上