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司法の武器化と『法思想史』 (1437文字)

 アメリカのトランプ氏が大統領に就任するのは、2025年1月20日(アメリカ時間)に決まりました。

 これで、反トランプ勢が仕掛けていた「司法の武器化」による冤罪騒ぎが治まりそうです。
 トランプ次期大統領は、元不倫相手への口止め料支払いを隠すため業務記録を偽造したとして重罪34件について有罪評決を受けています。
 これについては、私は「①口止め料支払い自体は犯罪ではない。②業務記録の偽造は軽犯罪であり、トランプ氏が起訴されたときには既に時効が成立している。③裁判官は陪審員を違法に誘導して評決に導いている。」と考えているので、この裁判自体無効であると思っています。
 もっともこれはアメリカの法制度に詳しくない私の私見なので、専門家の判断によると違うのかも知れません。

 反トランプ勢は、上記のような違法な裁判(と私が思う裁判)をトランプ氏に仕掛けていたわけですが、このことを反トランプ勢以外の勢力から「司法の武器化」と呼ばれその不当性が叫ばれていました。

 トランプ氏が大統領に就任することにより、このような「司法の武器化」とその結果は無意味になりましたし、この冤罪事件に関与した検事も裁判官もそれ相応の酬いを受けることになると思います。

 西部劇の時代(多くは南北戦争後の時代)なら、保安官と巡回判事が組んで悪事をはたらくということがあったでしょうが、まさか現代にこのようなことが先進国のアメリカであるとは、驚きでした。

 諜報機関が人を陥れるならともかく、検事と裁判官が法を曲げて意図的に被告人を有罪にすることがあるなんて、と思いました。

 日本は、明治時代に西洋から法制度を移植し、現代も西洋の法制度を参考にしています。会社法などはその顕著な例です。
 その手本としてきた西洋で「司法の武器化」が行われてきたというショックから、「法律の歴史を学び直さなければならない。」と思い『法思想史』(中山竜一、浅野有紀、松島裕一、近藤圭介著 有斐閣アルマ)を買いました。
 大学では、西洋法制史(『法思想史』とほぼ同じ内容と思います。)という講義がありましたが、私は受講していません。だから、「何の手がかりもない状態で法律の歴史を読むことになる。」と思っていました。

 ところが読み出してみて、妙な既視感(「デジャ・ビュ」 それまでに一度も経験したことがないのに、かつて経験したことがあるように感じること。)があります。
 これは、恐らく最近高校世界史の参考書を読んだからなのだと思います(私はとある事情で高校の科目の参考書を読んでいるのです。)。

 ギリシア文明からローマ文明を経て西ヨーロッパの文明は加速度的に発達します。これは、恐らく大商業時代(以前は大航海時代と言っていました。)に伴う植民地経営と宗教改革運動、そしてその後の産業革命による影響が大きいと思います。
 法律も文明の産物といえますから、「世界史の知識が法制度の歴史の理解に大いに役立つ」のは当然といえば当然ですが、最初に気づいたときは「ある学問分野とそれに隣接する学問分野との関わり合いの強さ」に感銘を受けました。

 大学受験の際に世界史を選択する受験生は少ないようです。
 選択科目は各受験生が自分に有利と感じるものを選択することが合理的だと思いますが、選択しなかった科目も後々役に立つことがあるので、受験は別としても授業や定期テストではある程度本気をだしましょう。

#司法の武器化 #トランプ #口止め料 #西洋法制史 #法思想史

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