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『刑事マードックの捜査ファイル シーズン5第4話 渦巻く嫉妬』 (1314文字)

 カナダの大ヒットテレビミステリドラマ『刑事マードックの捜査ファイル』では、たまにレギュラーの一人を中心に捜査を描く回がありますが、今回はその回です。
 描かれるのはトーマス・グラッケンリード警部とオペラ歌手毒殺事件です。(オペラ:opera 歌唱[「かしょう」歌をうたうこと。]や朗唱[「ろうしょう」たからかに歌うこと。]を中心に器楽・舞踊を加え、歌手が扮装して怨ずる舞台劇。)。

 事件の手法や動機自体は目新しいものではありませんが、ブラッケンリード警部が劇場芸術に造詣(「ぞうけい」学問または技芸に深く達していること。)が深いことから捜査の目を曇らせるという点が今回の見どころになります。

 ブラッケンリード警部は、普段は酒好きで皮肉屋、そして揉め事は腕力で解決する、という性格の人ですが舞台芸術に趣味があったとは意外でした。
 そういえば、過去に芝居小屋で起きた殺人事件のときもその片鱗(「へんりん」きわめて小さい部分。)を見せていましたが、今回見せたのは片鱗どころではありませんでした。

 しかし、それでも真犯人を見つけ、その犯人に死に際を与えたところは「さすが」と言える振る舞いでした。

 私はオペラもオペレッタ(operetta 娯楽的要素が強く、軽快な内容の歌劇。)の素養もありません。
 それらしいもので記憶にあるのは、、スーザン・ボイルが熱唱した『夢やぶれて』(I Dreamed a Dream ミュージカル『レ・ミゼラブル』の劇中曲)くらいです。
 (オペラは「せりふ」も歌のように作曲されている音楽形式であるのに対してミュージカルは、「音楽」「歌」「せりふ」「ダンス」結合させた演劇形式です。 オペラの歌い手は、歌って演じることに全精力使って表現する音楽家であるのに対し、ミュージカルは、演劇役者が「せりふ」「ダンス」「タップ」までこなさなければなりません。)

 『刑事マードックの捜査ファイル』は、19世紀末の時代設定のドラマです。映画の発明は1895年といいますから、カナダではまだ普及していないでしょうし、初期の映画は音声がありませんでしたので、演劇と音楽を好む人たち(多分富裕層でしょう。)はオペラに行くものだったのでしょう。同時代に活躍したロンドンのシャーロック・ホームズも、しばしば観劇に行っています。
 また、この当時のオペラは特別な社交の場でもあったようで、ブラッケンリード警部はこのオペラ観劇のために夫人にドレスを新調(「しんちょう」新しくととのえること。)しています。

 ブラッケンリード警部夫妻には子供はいないようです。
 また、夫人は警部が酒を飲むのを嫌っているようですが、夫婦仲は悪くないようです。

 このブラッケンリード警部を一言で表するなら「ブルファイター」(打たれても下がらない強いハートと強烈なパンチを兼ね備えたボクシング選手。)でしょうか(以前、K1の故マイク・ベルナルドがジェロム・レ・バンナ戦で近距離からアッパーカットを連打する姿を実況アナウンサーが「ベルナルドのブルファイト!」と言っていました。)。

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