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OB・OGの存在価値 (1749文字)

 OBはOld Boy、OGはOld Girlのことですが、私はOGのことは分からないのでここではOBについて書きます。

 OBって、年長者であるということ以外に何か特別な性質を持っているのだろうかと思います。
 「年長者を敬(うやま)え。」と日本では言われますが、「それって儒教思想が発端ではないのか、欧米ではあんまりそんなこと言わないと思うが。ただ、加齢により能力が低下しているから手を貸さないといけない場面があるだろうから、そういうときは介助するけど。」と思っています。

 将棋の故米長邦雄さんが修正型と新手一生型(しんていっしょうがた)について次のように書かれています。
 「たとえば、60点のものを堅実に80点にまで持ち上げていく。その努力を維持して行くことを理想とする人がいます。つまり、現実との対応を重視するタイプで、将棋の世界ではこれを修正型と呼びます。その一方で、60点のものを一挙に100点に持っていきたい人もいます。その反動で、次に3、40点しか取れないこともあるかもしれないが、それでも100点を狙うことを自分の生きがいとするわけです。 後者のような発想をする棋士が、新手一生型といわれます。」(『人間における勝負の研究』米長邦雄著 祥伝社文庫 99ページ。数字は漢数字からアラビア数字に書き換えて引用。)

 私は、「古い技術を磨き上げても効率の限界が来るので、それより新しい技術を模索すべきだ。」と考えるので、新手一生型に共感します。
 たとえば、内燃機関(エンジン)でプロペラを回転させて推力を得る飛行機は、エンジンやプロペラの精度を高めて効率化を図っても水平飛行で音速を超えることはできません。それは、機体が音速を超える前にプロペラの先端が音速を超えてしまいプロペラから空気が剥離し、推力を発する効率が落ちその結果機体の速度が上がらなくなるからです。急降下する場合なら音速を超えるかもしれませんが、それでは音速で巡航(航空機が各地をまわって飛行すること。)できないので、音速突破も記録だけの話になってしまいます。
 そうなると、内燃機関とプロペラという組み合わせではなく、外燃機関(ジェットエンジンとかロケットエンジン)を使うという発想が必要になります。
 現実には、音速への挑戦のかなり以前からジェットエンジンやロケットエンジンは発明されていましたが、実用化されたのは第二次対戦末期のドイツのMe262やMe163が最初だったそうです(日本でも、外燃機関を使った軍用機を作りましたが、終戦と重なり完成に至らず、さらには連合国軍により航空研究は禁止になりました。)。

 話がずれましたが、私は米長さんの言う「新手一生型」のように新しいことに挑戦したいと思っているので、古い考えに固執することが多いOBとは接触を持ちたくないと思っています(OBにも新しいことに挑戦しようとする人がいるのかもしれませんが、今まで会ったことがありません。)。

 それに、OBはなにかというと威張り過ぎます。
 タバコに火を付けてから灰皿を探す振りをしますが、結局後輩に灰皿を持って来させます。
 親会社の社長なら多少横柄なことをしても仕方ないかと思いますが、OBはそれほどの大物ってわけではありません。それに、親会社の社長はそんなことをしません。

 かなり前ですが、本部長で退職したOBが4月のはじめにやってきて、応接セットで課長に人事異動の内容の評価をしていた場面に出くわしました。
 人事の話は面白いとは思いますが、相手をする課長には年度当初の仕事が山積しています。課長にすればいい迷惑です。さらにそのOBの人事情報は過去のものであり、現在の事情に合いません。
 そういうことも気付かないOB。
 話がしたいなら、キャバクラに行きカネを払って話を聞いてもらえばいいのに。

 私はキャバクラに行ったことがないので、そんな話をまともに話を聞いてくれるのかどうか分かりませんが。

 なお、私がOBになったら、新たな環境(今のところ再就職する気はありません。)で自分を試そうと考えています。古巣で後輩の時間を無駄遣いすることなく静かに生きていけます。

#創作大賞2024 #エッセイ部門 #OB #米長邦雄 #人間における勝負の研究


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