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アメリカ合衆国 CRとDOGE (1617文字)


  米議会上下両院は2024年12月21日未明、来年3月半ばまでのつなぎ予算案を賛成多数で可決しました。バイデン大統領は署名する意向で、現行のつなぎ予算は20日深夜に期限を迎えましたが、政府機関の一部閉鎖は回避されることになりました。

 本予算の成立が遅れている場合(アメリカの予算は、9月末までに10月から翌年9月までの分を決めることになっています)に、暫定予算(「つなぎ予算」)を成立させ本予算が成立するまでの間の必要な支出ができるようになっています。 本予算が成立すると暫定予算は本予算に吸収されて失効し、 暫定予算に基づく支出は本予算に基づいてなしたものとみなされます。

 「つなぎ予算」はCR(Continuing Resolution )と略称されるので、以下もCRを使います。

 CRが成立しなければ、政府(の機関)が閉鎖せれてしまうので、その期限ギリギリにCRが成立したのはアメリカ国民にとってよかったといえますが、今回は単にCRが成立しただけでなく、CRの内容がアメリカ国民にとっていい方向に修正されました(と私は思います。)。

 CR案は12月17日に与野党が合意した分(以下「第1案」といいます。)と、12月21日に成立した分(以下「第2案」といいます。)の2種類ありました。
 第1案は与野党が合意したのですから、手続き的に正当性のある案だと言えますが、1547ページという大部であり内容も①議員の給与引き上げ、②NFLスタジアム建設、③ワクチンの義務化、④ワクチン被害の申立てに制限を加える、といった政府機関の運営維持に関係のないものが多く含まれていました。特に、③と④はトランプが大統領就任後に長官に就任するロバート・フランシス・ケネディ・ジュニア(Robert Francis Kennedy Jr。以下「RFK.jr」といいます。)の保険福祉省の業務を妨害する、目的があると思われます。

 最終的に、トランプとイーロン・マスクと課員議長のマイク・ジョンソンらが120ページの第2案を、政府閉鎖を回避するギリギリの段階で民主党に呑ませ、この第2案が成立予定となりました。
 なぜ、民主党が第2案を呑んだのかというと、ここで民主党が第2案を呑まないとCR不成立による政府閉鎖の責任が民主党が被ることになりそうだったからのようです。

 ここでは、詳しく書きことを控えますが、第2案(成立したCR)が賛成されたプロセスには、トランプ氏大統領就任後にイーロン・マスク氏が主導することになる政府効率化省(「せいふこうりつかしょう」 Department of Government Efficiency、DOGE、または政府効率化委員会 「せいふこうりつかいいんかい」 Government Efficiency Commission) の仕事のやり方が色濃く出ています。DOGEが本格稼動すると、政府職員で退職しなければならなくなる人が大量にでそうです。

 かつて「アメリカが風邪を引くと日本がくしゃみをする。」と言われ、日本がアメリカの影響を強く受けていることが強調されましたが、このDOGEのやり方つまり効率化というアメリカ政府の方針は、日本にも強く影響を与えることでしょう。

 私は、財務省(解体や組織改変されずに、現在のような形態で残っていればの話ですが。)の上級幹部には東大法学部出身者だけでなく、経済学部出身者を多く採用し、予算を複式簿記で管理するといった風に政府組織が変わっていけばいいのに、と思っています。

 財務省が解体され組織改変されたとしても、財政を所管する官署は残るでしょう。
 そうなっても、その財政を所管する官署でも経済学部出身者の大幅採用がなされ、適正な財政を計画することができる頭脳を集めることに期待したいと思います。

#CR #つなぎ予算 #DOGE #トランプ #イーロン・マスク #マイク・ジョンソン

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