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ビートルがミサイル攻撃するときの違和感、ウルトラホーク1号が離陸するときの違和感 (1897文字)

 古い話で恐縮ですが特撮テレビドラマ『ウルトラマン』には、科学特捜隊(略して科特隊(かとくたい))という組織が登場します。
 怪獣とか宇宙人などの存在が確信できないのに、また彼らが人類の脅威になるのかどうか分からないのに巨額な費用を掛けて基地や装備品を用意している先見の明のある組織です。
 この科特隊は、移動手段として空にはビートルという垂直離着陸機、陸には専用自動車、水には特殊潜航艇S号を運用しています。

 子供のころ『ウルトラマン』を観ていて違和感を覚えたのはビートルによるミサイル攻撃のシーンでした。
 ビートルがミサイルを発射するときは、コックピット内にいる科特隊員が機器を操作するのですが、その操作がレバーを上下にスライドさせる方式でした。
 実際の戦闘機などでは押しボタンを押すことでミサイルが発射します。これは、目標に照準を合わせ続けることが難しいので「ここだっ!」という瞬間にミサイルを発射させたいためだと理解しています。
 この道理は、ビートルが怪獣や宇宙人などを攻撃するときも同じはずなので、「どうしてなんだろう?」と思いました。
 でも、これなどは「ミサイル兵器が身近にないからリアルでなくても仕方ないか。」と撮影セットを作った美術さんの事情を察して容認しました。

 しかし、ビートルからミサイルが射出されるシーンでは容認する言葉が見つかりませんでした。
 ビートルのミサイルは、機体後部にある主翼(ビートルは先尾翼機です。)の先端にあるミサイル発射筒から射出されます。
 このミサイル発射筒は外見上単発に見えるので、左右の翼にミサイル発射筒が各々1つあることから、ビートルにはミサイルを2発搭載されていると断定していいと思います。
 しかし、実際に怪獣や宇宙人等に攻撃するときは、ミサイルを続けざまに何発も射出します。

 テレビドラマ『謎の円盤UFO』のジェット機スカイワンは、翼にミサイルポッド(pod。容器)を吊しているので連続発射しても自然なんですが、ビートルはそうではないのにスカイワンより連射します。
 「あのミサイルはどうやって発射筒に追加装填されているのだろう?」というのは、子供だった私には解けない疑問でした。こればかりは、美術さんの事情とは無関係に疑問として考えつづけました。

 その後『ウルトラマン』の後継番組として『ウルトラセブン』が放送されました(その間には『キャプテンウルトラ』が挟まりますが、こちらの方は書くことがたくさんあるので、今回は省略します。)。
 『ウルトラセブン』にもウルトラ警備隊という、科学特捜隊よりも巨額な費用を掛けた基地と装備品がありました。
 メカニカルな面で大変参考になりましたが、一つ違和感を覚えました。
 それは、ウルトラホーク1号の発射シーンです。
 ウルトラホーク1号は、山の中をくり抜いたような基地の中に格納されています。
 発進時には、まずエレベーターで上階に上がり(巨大なウルトラホーク1号自体を持ち上げるわけです)、若干の横移動をして発射台に赴き、離陸命令を待ちます。そして、いざ離陸というとき、(ウルトラホーク1号には垂直離陸機能がないと思うのですが)一旦真上に持ち上がり、その後機体後方に噴射煙を残しながら前進飛行していきます。
 私は『ウルトラセブン』放送時には『ウルトラマン』のときより少し成長していたので、英国のテレビ人形ドラマ『サンダーバード』と比較して評価するという知恵がついていました。
 ウルトラホーク1号と比較するならサンダーバード2号が適当でしょう。
 サンダーバード2号は、バージルが「はいパパ」と出動指令を受けてからだいたい2分間で離陸しています。
 それは、パイロットのバージルがサンダーバード2号に搭乗するシステムが危険を度外して迅速性を優先していることと、バージルが搭乗してから発射台に移動するまでが短距離を前進して行くだけだからです。
 サンダーバード2号は巨大飛行機(サイズ的にはボーイング747ジャンボジェットとほぼ同じです。)ですから、タキシング(taxing。飛行機が自らの動力で地上を移動すること。)するだけで発射台(離陸位置)に到着するいうシステムはリアリティーがあったと思います。
 一方ウルトラホーク1号の方は、手数が多すぎるように思いました。
 サンダーバードは人命救助で、ウルトラホークは侵略対応、と各々使命は異なりますが、緊急性が優先されるべきであることは変わらないはずです。

 私は未だに、ウルトラホーク1号の発射システムには「無駄が多い」と思っています。
 
#創作大賞2024 #エッセイ部門

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