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HONDA RA272 (1305文字)

 レーシングスポーツの月刊誌『auto sport(オートスポーツ)』の2024年11月号にホンダがF1に参戦した頃のマシンであるRA272(いわゆる葉巻型の車体です。)の記事と写真が掲載されています。

 今のF1マシンと比べると、ウイングなど空力部品がないこと、スリックタイヤでないこと、タイヤサイズが小さいこと、など違和感さえ覚える外形をしています。でも、昔のF1といえばみなこのスタイルでした。

 また、当時はホイールの固定に6本のビスとナットを使っていたようです。今は、センターロックナット1個でホイールの着脱ができますが、当時はまだそういう部品がなかったようです。でも、ブレーキは前後輪ともディスクブレーキです。

 コックピットは今よりメーターもスイッチ類も少なくて素人でも馴染みやすい構成です。メーターは視認性がいいように黒地に白色のメモりと数字が描かれています。
 タコメーター( tachometer 回転速度計。機器において軸の回転数(回転速度)を指示する計器。)は右に(時計回りに)90度傾けて設置されていて、10000回転あたりの回転数を見やすいように、10000回転の数字が時計の12時の位置にくるようになっています。

 びっくりするのは、フロントウインドウを貫通するように燃料の入れ口があること。
 そこから入れた燃料はホースを通って燃料タンクに入っていくのですが、その燃料タンクはコックピットを囲うように設置されています。燃料の入れ口には蓋(ふた)がしてあって、その蓋(ふた)の真ん中にあるネジを指で回して蓋(ふた)の開閉をするようです。当時はレース中にピットで急いで燃料を入れるということがなかったのでしょう。
 それにしても燃料に囲まれた状態でレースを続けるのは怖い。車体側面からぶつけられたらすぐ発火しそうです。
 でも、後のF1も燃料タンクがコックピットのレーサーの背後に置かれるなど配置は似たようなものだったので、「F1ってそういうものなんだ。」と思いました。燃料はレース中に消費されるので、操縦性に影響しないように重心に近い場所に燃料タンクを置くものでしょうから、この配置は合理的なのですね。

 エンジンは12気筒空冷で、横置きのレイアウトです。横置きなので、コックピット後端から後ろ側がコンパクト(compact 小さくて中身の充実しているさま。)に見えます。

 前輪のサスペンションのアップの写真を見ると、華奢な感じで「よくこれでレースできるなぁ。」と思います。
 強度を維持しながら重量が最低になるよう作られているのだとは思いますが、そう思いながらも若干頼りなさも感じました。

 この時代は、F1は1500ccエンジンで、この排気量のF1は映画『グラン・プリ』で見ることができます。レースシーンは恐らく実車のF1なのでしょうが、俳優が操縦しているのはF1の外形をしているだけで別のクルマを使っているそうです。

 それはそうと、この時代のレーシングカーは空力によるダウンフォースという設計要素がないので純粋に自動車のメカニズムを勉強するのにいい素材になります。

#HONDARA272 #葉巻型

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