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『ノックの音が』の頃 (879文字)

 『ノックの音が』は、ショートショート作家故星新一さんの代表作の一つで、あまりにも有名な作品ですからこの作品をネタにして投稿するのはのは気が引けます。でも「noteの恥は書き捨て」、書いていきます。

 私は、中学生のころ電車の中で級友にこの本のことを教えてもらい、駅で下車した後すぐ書店に行き買い求めました。
 その友人からその本に書かれているほとんどのショートショートの筋を既に聞いていたのに読んだ感覚はまた別で、とても面白くあっという間に読み終わりました。
 それまで私は結構難しい内容の評論を中心に読んでいたので、この娯楽性の強い本を夢中になってい読んでいる私を見た両親は、ちょっと落胆したようでした。
 しかし、ずっと食事を管理され健康にいいものばかりを食べつづけるのはしんどいので、たまにはお菓子やジュースが欲しくなるものです。
 星さんの作品は、私にとってのお菓子やジュースでした。
 はじめてイチゴショートを食べたとき、ある種の感動がありましたが、すぐその感動は鈍化してしまい今度は辛いものを食べたくなったりします。星さんの作品を何冊か読んでいると、急に違ったテイストの本を読みたくなって、アンドレ・ジッドの『田園交響楽』や、マルクスの『賃金・価格・利潤』を買ったりしました。両方の本とも、有名で安価だったので(文庫でした。)買っただけで格別興味があったわけではありません。今でもたまに『田園交響楽』の方は話題にだしますが、『賃金・価格・利潤』の方は話題に持ち出すと「面倒臭いやつ」と思われそうなのでまず話すことはありません。私は千種義人(ちぐさよしんど)教授の『経済原論』を読んでから、マルクス経済学への関心がまったくなくなりました(それ以前も大した関心があったわけではないのですが。)。

 話を戻しますが、星さんはショートショートのアイディアを捻出するために毎回苦労したそうです。
 漫画家の故長谷川町子さん(『サザエさん』や『いじわるばあさん』でお馴染みですね。)も、四コマ漫画のネタの案出に苦労されたと書かれていました。

 才能がある人がとても努力してこそ成功の可能性が開ける世界。私には無理だなと思います。

#ノックの音が

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