『刑事マードックの捜査ファイル シーズン1#3 血のドレス The Knock Down』 (1398文字)
カナダの大ヒット人気ミステリードラマ『刑事マードックの捜査ファイル』シーズン1の第3話です。
この事件の被害者はボクサーです。彼がホテルの床に倒れて死んでいたので「The Knock Down」という原題になり、被疑者(被害者の奥さんです)が血が付着したドレスを着ていたことから「血のドレス」というの邦題になっています。
[被疑者(ひぎしゃ)とは、捜査機関に犯罪の嫌疑をかけられており、かつ公訴(検察官が裁判所に対して、犯罪の被疑者を刑事裁判で裁判にかけることを求める申立てです。公訴の申立てを提起することを「公訴提起」といい、一般的には「起訴」とも呼ばれます。)を提起されていない者をいいます。]
ドラマはボクシングの試合で始まります。
当時(19世紀の終わり頃)のボクシングの試合は、ロープが張られたリングの上で行われていたようです。
対戦する選手は、グローブを付けていますが、シャツも着ています。今とは少し違いますね。
でも、最も大きな違いは、少なくても「31ラウンド」は闘うということでしょう。
1ラウンドが何分かわかりませんが、仮に3分間としても90分以上闘うわけです。ラウンド間に休憩があるでしょうから全体で2時間くらいの試合時間です。しかも、これはメインイベントですから、前座試合も含めたら一体何時間の興行なのかと思います。
話を戻して、被害者は黒人のボクサーなんですが、彼は殺されるすぐ前の試合で八百長の約束を違えて勝ってしまいます。
彼は、自分の勝利に賭けていたので、試合後に大金を手に入れますが、その後拳銃弾を心臓に被弾して即死します。
凶器となった拳銃は2連発のデリンジャー( Deringer エイブラハム・リンカーン暗殺にも用いられたヘンリー・デリンジャー開発の護身拳銃の固有名称。 スペル違いのderringer[rが一つ多いです。]は、これに倣った小型拳銃を意味する普通名詞となりました。今回の事件に使われたのは、恐らくこっちのスペル違いの方の拳銃です。)
今回マードックは、『CSI科学捜査班』(「シーエスアイ科学捜査班」CSIは、 Crime Scene Investigation。アメリカのテレビドラマ。アメリカの警察の鑑識課が科学技術を駆使して犯罪捜査する姿を描きます。)みたいな捜査を行います。
被害者は、至近距離(45センチくらいの距離)から発砲され、心臓に被弾して即死したと検視されました。
このことからマードックは、至近距離から凶器の拳銃を死んだ豚に発砲して、発砲者が受けた血痕と、冒頭に書いた被疑者のドレスに付いた血痕とが異なることから、別に犯人がいると考えます。
そして、マードックはなんやかんやで真犯人を逮捕します。
この事件では、マードックは度々壁にぶつかります。
すると、クラブツリー巡査やブラッケンリード警部が知恵を絞ったり、勇気付ける助言をしたりして、マードックを後押しします。
人種差別により無理矢理夫殺しとして絞首刑にされると恐怖する被疑者(被害者の妻)、差別的取扱など微塵も考えないマードック刑事。
海外ドラマで人種差別を描くとき、「いつものあのやり方」という感じが多いのですが、このドラマの場合はそういう感じがしません。
やはり、才能あるシナリオ作家がシナリオを書いているんだろうなぁ、と思います。