『看護覚え書』を見る度に (1720文字)
私は、飲食店のフロアー担当さんと、看護師さんには丁寧に接するように心掛けています。
飲食店や病院に行ったとき、最初に接してくれるのも、長時間接してくれるのもフロアー担当さんであり看護師さんです。
飲食店では、フロアー担当さんに悪印象を持たれていいことなどありません。
病院では、必ず接してくれる人として、看護師さんと医師とに大きく分けて考えています。
医師は、疾病の特定と対応を指示する権限がありますが、病気や怪我の客観情報を医師に伝えるのは看護師さんですし(主観情報は患者が直接医師に伝えますが、「風邪で具合が悪くて」といった不要な情報が混在するので看護師さんの客観情報が頼りになります。[風邪かどうかは医師の診断によって決まります。風邪の初期症状とよく似た伝染病症状はたくさんあります。])、医師の指示を患者に実行するのも看護師さんです。
たまに、医師が看護師さんに確認することがあることからも、医師だけでは病院機能が十分に発揮されないことは明らかであると思っています。
それに、看護師さんの仕事は多様です。
私も随分お世話になっています。(女性二人のお笑い芸人さんの「天才ピアニスト」は、看護師ネタをやっているので参考になります。YouTubeで「天才ピアニスト 看護師あるある」で検索してみてください。)
話は変わりますが、子供のころに偉人伝を読んで以来、キュリー夫人とナイチンゲールは尊敬する女性になっています(勿論他に尊敬する男性の偉人もいます。)。
その尊敬が行き過ぎて、ナイチンゲールの『看護覚え書』(薄井担子訳 株式会社現代社)を買い書棚に格納しています。私は医療関係者ではないのに。
とにかくその本の89ページに「病人に害を与えない対応の方法」の項として「24 患者と話すときは常に、患者があなたの顔を見ようとして無理に頭を捻(ね)じ曲げて苦しい思いをすることのないよう、患者の視野のなかに座ること。誰でも無意識のうちに、話相手の顔を見ようとするものである。患者にこんな疲労を強いるような行為は、患者に害を与える。また同様に、あたなが立ったままでいると、患者はあなたを見ようとして視野をあげつづけていることになる。患者に話をするときは、なるべく身体も動かさず、また身ぶり手ぶりなど絶対にしないこと。」と書かれています。
そういえば、胃の手術で入院したときも、高熱で診察を受けに行ったときも(診断はインフルエンザでした。)、看護師さんは私に負担が掛からないように接してくれたような記憶があります。
自分の体調が悪いときに、こういう配慮をされることは本当にありがたい。
喉が腫れて狭くなっていて、水を飲むのも一苦労するってことありますもんね。
そうでなくても、病院では「社会から忘れられて死に行く自分を」想像しがちです。体調が悪いと、人間は邪悪な考えに支配されやすくなると思います。
ナイチンゲールは看護婦として働いた期間は2年間だそうですが、「近代医療統計学および看護統計学の始祖ならびに近代看護教育の母」と呼ばれています。
キュリー夫人もそうですが、ナイチンゲールも数学の素養を多く持った人でした。
ナイチンゲールとその看護団がクリミア戦争に従軍したときに現地で受けた仕打ちを読む度に、イギリス人上流男性の保守性と権威主義的性質に怒りが湧いてきます。
フェミニストが戦う相手はああいう連中だろうと思っています。
なお、ヴィクトリア女王は、ハーバート戦時大臣に対し、ナイチンゲールからの報告を直接自身に届けるよう命じ、ハーバートはすぐにこれを戦地に送り、病院内に貼り出させたといいますから、ナイチンゲールらの味方もいたようです。
私は多くの職業人は「合理的に考えることができて、誠実に仕事をしてくれるなら、その人が男性だろうと女性だろうと関係なく昇級や昇進の候補者として強く推薦する。」と思います。
私が想定するその第一番目の人が、フローレンス・ナイチンゲールです。もっとも、ナイチンゲールの方が私よりはるかに能力が高いので、逆に引き上げてくれるよう頼み込むことになるでしょうが。
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