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『七色仮面』(1179文字)
『七色仮面』(なないろかめん)は、私が子供だった頃放映されていたヒーロー物のテレビドラマでした(私が観たのは再放送だったかも知れません。)。
月光仮面みたいな姿で、ただ顔はサングラスではなく仮面を付けていました。正確には「付ける」というより「被る(かぶる)」といった感じでした。
武器は二丁拳銃だったような気がします。オートバイに乗っていたという記憶はありません。
敵はコブラ仮面しか覚えていません。コブラ仮面も仮面を装着していましたが、こちらは顔としては人間離れした大きさでしたが、ただただ恐ろしい表情に作られていたので子供の私は「怖い」としか感じませんでした。
月光仮面は私のもっと前の世代のドラマですが、月光仮面にしろ七色仮面にしろどうしてこういう人物をヒーローとしたのか不思議です。
彼ら正義の味方の奇抜な出で立ちはいいとしても、当時は民間人が拳銃を発砲することは勿論所持することも違法だったはずですから、警察の出動を待たずに自ら自警団的に悪を成敗するという姿勢は法治国家としは看過できない存在のはずです。ここまで書いてきて「そういえばバットマンに似ている。」と思い至りました。
バットマンは、1939年に登場しているので、戦後に日本で登場した月光仮面や七色仮面に影響を与えていても不思議ではありません。
ただ、バットマンは負のイメージから始まりましたが、月光仮面も七色仮面も正のイメージから始まっています。恐らく、蝙蝠(こうもり)が欧米では狂犬病の感染源とされていることから、バットマンの第一印象がよくないからなのかもしれません。
とにかく、七色仮面です。
七色仮面の仮面は、目の部分が四角くり抜かれておりそこに黒いガラス様の有色透明な板が付けられています。有色(黒)とはいえ透明ですから、視界の確保はできているのでしょうが、近接格闘には不利になります。また、用途不明のマントも装着しており、余計格闘の邪魔になっているように思われました。そういう自分にハンデを付けることで、正義の遂行に困難性を付加し、正義への道の険しさを訴えていたのかも知れません。
あと、拳銃ですが、子供には拳銃の種類など分かるはずもありませんが、なんとなくオートマチック拳銃だったような気がします。勿論、発砲時でもスライドは微動だにしません。ただ、銃口から煙が出たことがあったような気がします。
この後ヒーローは、人間ではなくロボットになったり、一人ではなくチームになったり、地球人ではなく宇宙人(外星人)になったり、いろいろな変遷を辿りますが、正義とは何かと自問することなく正義の実現に邁進(まいしん)するひたむきな姿を子供達に示しつづけて行きます。おそらく、正義というものの理解は、「きみたちが自分で考えるんだよ。」と語りたかったのでしょう。そんな気がします。