弾薬・コンテナ・カセットテープ (1640文字)
弾薬とコンテナとカセットテープには、複数のものを一つにまとめて扱いやすくしたという共通点があります。
弾薬は、弾丸と発射薬と薬莢を一つにまとめていますし、コンテナは積み荷を扱いやすい形態にまとめています。さらにカセットテープは(今ではめったに見ませんが)、オープンリールの録音テープをケースの中に格納してテープレコーダーへのセットを簡単にしさらにそのまま保管できるようにしました。
ユニット(unit 〈特別の目的で構成された〉集団)化とはこのようなものを言うのでしょう。
【弾薬】 弾薬というのは、弾を発射する火薬ということではなく、弾と発射薬(火薬)のことです。
火縄銃の時代は、銃口から発射薬を入れそれから球状の弾丸を入れ、さらに細長い棒でそれらを突き固めて弾薬装填をしていました。弾薬装填時間はかなり掛かったと思います。だから、連射という概念は生まれませんでした。
そのうち、弾丸と発射薬を一つにまとめさらにそれを銃の根本というか薬室に入れることで弾薬装填時間の短縮が実現しました。はじめのころは発射薬を入れる容器として紙などが使われましたが金属の薬莢が発明され現代のような銃の形態に進歩しました。
【コンテナ】 コンテナができる前は、貨物船で荷物を運ぶとき、一番遠くの港で荷下ろしする荷物を一番最初に積み込み、一番最初の港で荷下ろしする荷物を一番最後に積み込むことで輸送期間の短縮と各港での停泊料の節約をしていたそうです。
しかし、コンテナが発明されると、積み込みや積み下ろしの作業効率が向上し、積み込み順序に多少の誤差があったとしても大きな問題にならず、同時に港の停泊期間が短縮したため停泊料も軽減しました。さらには、積み込んだ荷物は固いコンテナ内に収容されているため運送中の破損もなくなりました。
【カセットテープ】 録音機は初期のころはワイヤーレコーダー(鋼線式磁器録音機)といってワイヤーに録音し再生する形式でした。私は海外の古いテレビドラマでしかワイヤーレコーダーを見たことがありませんが、恐らくワイヤーに磁性体が塗られていたのか、ワイヤー自体が磁性体だったのでしょう。それがポリエステル製などのテープになり扱いやすくなりました。この製品はヒットしたため、一般家庭でも多く使用されていました。
それでもそのテープをテープレコーダーにセットするときにはテープの端を記録再生用ヘッド部分を通して巻き取り側の空のリール(reel 巻取器)に何回か巻付けなければならず、それが煩わしい作業でした。
また、磁性体が塗られたテープが剥き出しであるため、テープ自体が破損することが少なくなくて、せっかく録音した音楽やラジオ番組などが聞けなくなる、ということがありました。これが業務用に使用されていたものであれば、自体はもっと深刻だったでしょう。
これらの問題を解決したのがカセットテープです。
カセットテープには、カセットを呼ばれるケースの中にリールが2個と磁性体が塗られたテープが入っていて、それをカセットテープレコーダーにはめ込むだけで録音再生ができました。磁性体の塗布技術が向上したのかテープの幅は細くなり、太さも薄くなりました。
現在は、デジタル信号で録音する機器が主流ですが、そうなる前はカセットテープが録音再生の主流でした。今でも、扱い安さという点ではデジタル機器より優れているとしてカセットテープとカセットテープレコーダーを好むという人は少なくないそうです。
このような道具類の発展をみると、ユニット化に向かうというのが大きな傾向だと思います。
例外的な製品としては、インスタントコーヒーと砂糖とミルクを一つのパックにしたものがありましたが、この製品は既存のコーヒー製品を駆逐するには至りませんでした。恐らく効率性の点と価格の点で著しい差別化を図ることができなかったからだと思います。
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