モータースポーツテクロリジーが好き 理解が難しいから (1882文字)
私は、モーターレーシングが好きですが、レースを楽しむというよりはレーシングカーの新しいアイディアや新規のメカニズムを知ることが楽しいと思っています。
だから、テレビ等でレースを観るのではなく、書籍で解説を読むことの方を好みます。
そういう書籍としては、『ニキ・ラウダ F1の世界』(ニキ・ラウダ著 武田秀夫訳 株式会社ニ玄社)や、『ターボ時代のF1』(Niki Lauda著 中村良夫訳 株式会社ニ玄社)はとても勉強になりました。
かといって、私がレーシングカーのメカニズムに精通しているかというとそういうことはなく、私の知識は「一応上っ面だけは知っている。」という程度です。
レーシングカーの歴史ってなかなか興味深くて、F1もエンジン排気量が1500ccの時代(映画『グラン・プリ』ではその時代のF1が描かれています。)から一気に3000ccになったり、突然に空力を追求したり、そうかと思えば長期間ターボチャージャーに取り組む根気強さを見せたり、どこか1チームが新しいアイディアで勝ちだすと他のチームが一斉にそのアイディアを分析して模倣仕出すなど、変化に富んでいます。
だから、何シーズンかレース関係の本から離れると、戻って来たときに「浦島太郎状態って、こういうことを言うんだろうなぁ。」と感じます。久しぶりに読む本に書かれていることの意味が皆目分からないのです。
最近でいえば、エンジンでなくパワーユニットと動力装置の呼び名が変わっていました。F1のパワーユニット とは、内燃エンジンにハイブリッドhybrid 交配種、雑種、他の機械の部品を使った機械。ハイブリッドカーは、ガソリンエンジンと電気モーターを併用する自動車。)技術を組み入れた動力源のことだそうです。
私の理解では、F1のエンジンで発電機を回し、生み出された電気を充電し、ある程度充電したらそれでモーターから出力します。その出力をエンジンの出力に加えることで大出力化するということのようです。
ここでいうハイブリッドは、エネルギー回生システム( Energy Recovery System略してEMS。「回生」は、いきかえること。)というそうで、排気ガスの熱エネルギーを回生するMGU-H(Moter Generator Unit-Heat)と、運動エネルギーを回生するMGU-K(Moter Generator Unit-Kietic)の2つのシステムの総称です。
運動エネルギー回生は理解できますが、排気ガスの熱エネルギー回生ってどういうことなのでしょう。
以下は私の理解なので、誤解しているかもしれません。
ターボ車のレーシングカーは、全開加速時は排気エネルギーが増加し、排気タービンに供給されるエネルギーが増える。その増え方が大きいので吸気タービンが空気を圧縮する仕事を上回る場合、つまり排気タービンの仕事が過剰になった場合、排気タービンの仕事の過剰分によりMGU-Hで発電し、その電力を直接MGU-Kに送る。つまり、排気タービンが、吸気タービンを回転させるのと同時に余剰の力で発電するということのようです。
ということは、パワーユニットは、ターボチャージャー車でなければ使えないということになります。
それにしても、排気ガスの熱エネルギー回生って誤解を生む言い方だと思います。回生しているのは、排気ガスの熱エネルギーというより排気圧力というべきではないでしょうか。排気ガスの圧力により回転する排気タービンの回転数が吸気タービンが必要とする回転数を上回るので、排気タービンを回転させる力を一部発電の方に利用しているわけで、排気ガスはエンジン内での燃焼(爆発)つまり熱によって膨張し、さらにピストンが迫ってきてシリンダー内の容積が少なくなりシリンダー外に押し出されるわけですから、熱膨張した排気が排気タービンを回転させると言えますが、そうするとピストンがシリンダー容積を小さくしている働きを無視しているように感じます。
また、そうしてシリンダーから押し出された排気ガスが持つエネルギーが排気タービンを回転させるわけですから、MGU-Hが回生するのは熱というよりは排気エネルギーのように思われます。
と、難しい理屈を回転させるわけですから考えているのが好きです。
ターボエンジンのタイムラグという性質は、ターボエンジンのクルマが発売された頃から散々言われてきましたが、ここまで突き詰めて考えエネルギー回生技術を開発した技術者には頭が下がります。
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