望月三起也 ーつじつまの合わないところは画の迫力で納得させるー
望月三起也さんの漫画といえば、ガンアクションが見所ですが、ストーリー上勢いのある展開が伏線回収を阻害することがしょっちゅうで、読んでいて「あれ!」ということがよくあります。例えば『ワイルド7』の第1巻で飛葉が少年院から月1回は脱走する必要があると言っていましたが、その理由は結局『ワイルド7』では説明されませんでした。また、『突撃ラーメン』でも、主人公が毒薬に強い抵抗力があるという内容のことを主人公の父親が語っていましたが、その理由というか訳も説明されず仕舞いでした。
でも、そういう齟齬が作品の傷にならないのが望月三起也さんで、画の迫力とアクションシーンですべてをカバーしています。伏線回収忘れなど全然気にならなくなります。
そういえば、『秘密探偵JA』の「影の誘拐魔」の回で、JAがあらかじめアーマーライト15を遊園地の池に沈めておき、敵と戦闘中に池の水の中から発砲しましたが、私は「バレルの中に入っている水はどうなったんだろう?」と思いました。でも、この決戦は非常に高密度で、さらに決戦前のJAの起床・愛銃コルト・ウッズマンの手入れ、朝食といった日常の一部も描かれていて貴重です。それにくらべれば、水中発砲の矛盾なんか微々足るものです。