有色人種がトランプ候補を支持するということ (2688文字)
世界史を学んでいて、奴隷貿易のところで衝撃を受けました。
私は、「白人がアフリカに出向いて現地の黒人を捕らえ、帆船に乗せてイギリス経由でアメリカ大陸に連れていく。」と思っていました。
こういう奴隷貿易を「三角貿易」と呼ばれますが、ややこしいことに「三角貿易」には二種類あります。
一つはアジアの「三角貿易」で、インド産アヘンを中国に、中国のお茶をイギリスへ、イギリス産綿製品をインドへ、インド産アヘンを中国へ運ぶ貿易です。この時期は18世紀後半です。
私が衝撃を受けた黒人奴隷の「三角貿易」は、もう一つの方で、ヨーロッパからアフリカへ武器や雑貨などの工業製品を送り、それと交換して得た奴隷をアメリカ大陸・西インド諸島に送り、そこから砂糖・綿花・タバコ・コーヒーなどの農産物をヨーロッパで売りさばきます。
ここで、奴隷との交換物として武器があったことに違和感を覚えました。
私は、ヨーロッパ人がアフリカに、奴隷とする現地人(黒人)を捕らえ管理する現地基地のようなものを作っていたんだろうと思っていました。
そう考えると、「それと交換」という行為に違和感を覚えますが、ヨーロッパにはたくさんの国があるので、国が異なれば「物資の補充」ではなく「交換」になるでしょう。
でも、世界史の本には「物資の補充」と「交換」とを書き分けていません。
ということは、ヨーロッパ人が現地人(黒人)を奴隷としてヨーロッパ(奴隷商人)に供給したわけではないんのではないかと想像できます。
調べてみると、アフリカで奴隷を集めてヨーロッパの業者に売ったのは、現地の権力者である黒人やアラブ商人(アラブ人の商人。アラブ人は、アラビア語を話す人と理解しています。)だったそうです。
私が衝撃を受けたのは、現地の黒人が他の黒人を捕らえてヨーロッパの業者に売っていたという点です。
アフリカでは民族闘争を繰り返していたので、ヨーロッパ産の進んだ武器が必要だったのでしょう。
現代の価値観で過去の歴史を批判するのは愚かなことと思いますが、ものすごく後味の悪いものを見た感じです。
奴隷とするために売られた黒人らは、非常に環境の悪い状態で海上を運ばれます。
そのため、運搬中に死亡する者が相当数でますが、そういう者は海に捨てられたのだそうです。
彼らはその後も、多くの悲惨な環境(プランテーションでの重労働があり、また南北戦争後も南部では黒人による投票権を制限する州法を作りました。)を生き延び現在に至っているわけですが、その彼らの少なくない数がアメリカ共和党のトランプ大統領候補を支持を表明しているというのは、興味深いところです。
日本のメディアに出てくるコメンテーターの中には、「アメリカの黒人男性は未だに男尊女卑だから、女性が大統領になることを好まないんだ。だから、トランプを支持しているのだ。」と言う人がいますが、アメリカの黒人男性がそういう考え方を持っているとは知りませんでした。驚きです。そんな風に言われると、現代のアフリカ系アメリカ人(黒人)に「アメリカの公民権運動には、黒人女性は参加してはいけなかったのかい?」と尋ねたくなります。
ちょっと調べても、アメリカにおける公民権運動に活躍した女性には、メアリー・チャーチ・テレルやファニー・ルー・ヘイマーなど多数おられます。
先のコメンテーターは、アメリカの黒人男性はこれらの方々の業績を快く思っていない、とでも言うのでしょうか。
以下は、私の想像です。
日本のメディアは、アメリカの左派メディアから情報を得て報道しているので、現在トランプ候補の人気が高いという調査結果をうまく説明できません。今までアメリカ左派メディアが民主党のカマラ・ハリス候補を持ち上げてきたとおり伝えて来たからです。
ところが、このところ大統領選挙の支持率の風向きが変わってきて、トランプが圧勝する勢いになってきました。
そうなると、アメリカの商業メディアの多くはトランプ優勢という報道に舵を切りました。この方針転換のために、編集スタッフが多数辞職したメディアもありましたが、アメリカには人材が有り余るほどいるのか、メディアの報道方針転換が改まることはありませんでした。
困ったのは、日本のメディアです。アメリカのように手の平を返すという器用なことができません。これは、テレビ局やその親会社である新聞社の幹部が高齢だということと彼ら自身が左派的思想の持ち主だという事情もあります。
そこで、トランプが当選したときのために、コメンテーターに「トランプ候補の人気はアメリカの屈折した感情を持つ者らに支えられているかのように」分析しているコメンテーターを起用して、番組でそのコメンテーターにはそのとおりに発言させている、のだと解釈しています。
そういうコメンテーターには日本の大学の教授職の人もいるので、私は「自分の経歴をカネと交換に汚している。」と思って見ています。
実際にはアフリカ系アメリカ人(黒人)の少なくない者が、なぜトランプ候補を支持するのかはっきり分かりません。アメリカのテレビの街頭インタビューには、「民主党のオバマ元大統領は黒人だったが、黒人のために何一ついいことをやらなかった。」という人がいましたし、「バイデン(現民主党の大統領)になってから、生活が苦しすぎる。」というように、反民主党ということから共和党のトランプ候補を支持しているというアフリカ系アメリカ人(黒人)がよく登場しますが、果たしてこれがアフリカ系アメリカ人(黒人)の多数意見に近いのかどうかも分かりません。
それに、アメリカの有色人種は、黒人以外にもたくさんいます。パマラ・ハリスも、インドとジャマイカのハーフですが黒人ではないと言われています。
おそらく正確な分析は、この大統領選挙の後かなりの事件が経ってから、みんながこの話題に興味をなくした頃に公(おおやけ)になるのでしょう。
アメリカ大統領選挙まであと少しですが、新大統領と会う日本の総理大臣は誰になるのでしょうか。
仮に、カマラ・ハリス大統領と石破総理だったとしたら、一方は何を言いたいのか理解できず、もう一方はその発言を信用できないという、通訳を介しても意思疎通できない首脳同士の会談ということになってしまいます。
そういうリーダーを選んだのが民意なら、そのコストは各々の国民が負わなければなりませんが。
#三角貿易 #アメリカ大統領選 #トランプ #カマラ・ハリス #公民権運動 #メアリー・チャーチ・テレル #ファニー・ルー・ヘイマー
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