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難病患者のライフワークバランス

私の見ている範囲では、ここ数日間ライフワークバランスがどうとかの話題が多く出ています。そして、大体結論として、ライフワークバランスは重要だけども、それを若いときからいっているようでは色々な意味でダメだよね、というところに落ち着いているように見えます。

色々な意味でダメ、とは、若いうちからそんなにやる気がないのではダメとか、バランスを語れるぐらいの能力をつけるために若いうちは多少なりとも無理しないとダメとか、そういった話なのですが、私から見ると生存バイアスのかかった話なのかなあ、という気もしてきます。

私に限らず多くの潰瘍性大腸炎患者は、おそらく若い頃、20~30代前半にかけて最も症状の激しい時期を過ごしたのではないかと思います。とすると、当然ここでいわれるような、ライフワークバランスを考慮した働き方は「ダメ」な働き方にならざるを得ません。また、年齢によっては就職氷河期世代で、必要な経験を積めなかった世代である場合もあるでしょう。

若いうちは生きるか死ぬかの働き方をすべき、のような、必死の働き方をしなければ死ぬ前提だと、そういう働き方をしたら死ぬ人間にとっては死ぬことしか選択肢が与えられていません。私は死にたくなかった、というより喜んで死にに行く勇気はなかったので、若い病気の重い時期に仕事には就かなかったのですが、その選択がよかったのかは今も実は悩んでいたりします。あの時病気を押してでも無理に働いて経験を積んでいたら、もっとよい人生を得られただろうか、それとも、もっと身体を壊してひどい人生だっただろうか、と。成功していたら、きっと「ライフワークバランスなんていうヤツはダメだ」というでしょう。失敗していたら、死んでいたか、そうでなくてもまともには働けなくなって、どちらにせよライフワークバランスなんて口にしないのではないかなという気もします。

いずれにせよ、病院のお世話になりながら働くのはライフワークバランスどうこうという話以前のように思います。健康な人前提の議論ですかね。

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