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ドイツのとある保育士(私)の1日。その3
保育園のご飯はいつもワンプレートだ。いつも皿一枚だ。水かお茶を飲むためにグラスがある。ご飯を食べ終わったら、自分で片付ける。
バケツに食べ残しをスプーンやフォークで掻き出す。素知らぬ顔でそのままおいて行こうとする子供がいれば、ささっと近づき「これまだ残ってるよね」といちゃもんつける私である。
食べる時って、それぞれの子供の家庭が垣間見えるわ。
ドイツは日本より、お行儀にうるさくないように思う。よく悪くも自由だ。
よく考えたら、箸を使って、ご飯、味噌汁、おかずをそれぞれ味わうなんて、日本の子供はレベルの高いことを求められているもんだ。
ドイツ育ちの自分の子供が箸で遊ぶたび、何で自分はこんなにも心の底からムカつくのだろうと疑問に思う。何かが刷り込まれている。
さて、1ヶ月ほど前まで昼寝をしない子供達はご飯を食べて、すぐ庭園に出ていた。午前中も庭園にいると、昼ごはんの時間以外ずっと外にいることになる。たとえ天気が良くても、これは私にはかなり辛い。さすがにご飯の後ぐらい、ちょっと休もうよ。という私の念はしかし、園長に通じた。
ある日突然、園長が「大きい子も休ませる宣言」をした。色々と理由を述べ、寝るわけではなく、静かに遊んだり、ヨガをさせたりしよう、ということだった。もっともだ。誰も反対しない。
おいおい、私が提案した時は秒で跳ね返したくせに。私は心の中で同僚にちょっと悪態をついた。
こういうことは前の職場でも経験した。上からの決まりに、パッと倣うところが、ちょっと不思議だ。頭固くて、自分の考えを曲げず、とやかく理由にならない理屈をこね、柔軟性がない印象を受けるドイツ人なのだが、新しい上からの決まりごとには即対応し、自分の行動をパッと切り替える。
だって今日からそれが世界の真実なんだよ。何が不思議なの?
というような顔をしていて、私は呆気に取られる。
とにかく、これで昼ごはんの後しばらく建物の中にいることになった。
しかし、静かな遊びをさせるのも一苦労だ。男のたちが集まればプロレスが始まる。研究者室、という名前の部屋では、子供達は実験と称し鍋に水を入れ、紙を溶かす。それ自体は楽しくやっていていいのだが、水浸しになった床を掃除させるのが大変で、正直私は全然この部屋を担当したくない。
今週は子供も少ないので、絨毯が敷いてある部屋と、その横の積み木の部屋で遊んでいる。私がドイツ語の物語を子供に読んだりするのは、正直リスクが高すぎるので、特にこちらは何もせず勝手に遊んでもらっている。
読み聞かせって保育士の仕事でしょ!
なんて言わないでほしい。
できないことは、しなくていいのだ。やりたくないことは、無理強いしちゃいけない。子供に対してそう接しているし、それでいいと言っている。それで言っている私たち保育士も、自分に対してそうしている。
人ぞれぞれに強みがあるので、私は違うところで、自分の力が発揮できるところで貢献すればいいのである。
まあ、そう思ってくれるが大半である所で働かなくてはいけない、という条件あるけれど。
同僚は昼ごはんの後、交代で休憩に行く。
しかし午後2時なる前には子供を庭に出しておかなくては。おやつの時間なのだ。天気が悪くない限り、私たちは園庭でおやつを食べる。
帰る時間が近づいてきた。
続きは明日のnoteで。