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シモベ
「お前って、〇〇のシモベなんやろ?いっつもパシられてるしなぁww」
………シモベってなんだ?パシられるってなんだ?
その人曰く、ある女の子が、わたしのことをシモベと呼んでいたらしい。
家に帰ってから、シモベの意味を調べた。
少し胸の奥がキリキリしたけれど、笑ってしまった。笑ってるんだけど、なぜか涙が流れてる。なんだこれ。
次の日、それとなく、その子に聞いてみた。
「私ってシモベなの?」
思い返すと、何か頼まれたりすることは多かったが、それがパシリだとは思っていなかったのだ。
友だちのために、休み時間に使うボールをとりに行く、誰よりもはやく場所取りにいってみんなを待つ、遠くに飛んで行ったボールはわたしがとりに行く。
そういえば、私に対して少し口調が厳しかったような、仲間はずれにされていたような。でも、いっしょに遊んでくれるんだもん、友だちだよね。
放課後、遊びに誘われることはなかったが、私以外の3人はよく遊んでいたようだ。
「逆に友だちだとでも思ってたの?〇〇のくせに」
聞かなきゃよかった。でも聞けてよかった。自分の立場を思い出せたから。これ以上迷惑をかけずに済むから。
私に友だちなんてできるわけがないんだ。自惚れるな、私だぞ。友だちになろうだなんて烏滸がましい。身の程をわきまえろ。。戒めのように自分に言い聞かせる。
友だちだと思ってごめんなさい。
いっしょにバレーをしてもらえて嬉しかったんだけどな。私は友だちだと思っていたんだけどな。
私は常々誰かのためになりたいと思っていた。
その人が笑顔になって、ありがとうと言ってくれることが、この上ない幸せだった。
私は、いつだって片想いだった。