【製本のある暮らし】火の位を持っているか?
綴人の note にお越し頂き、ありがとうございます。
2024年5月28日、今日が私の個展の初日です。
本来であれば、今日は公園管理員の仕事のある日でしたが、イベントの関係で急遽振替休日となったため、会場に在館することが叶いました。
かみさんが気を使って、初日に在館出来ないのはまずいということで休みを取って会場入りする予定でいました。
専門的な解説が出来ないということで、多少緊張していたようですが、少しホッとした様子です。彼女の知り合いも来て下さるようなので、今日は二人で会場入りします。
朝刊を開くと、県展受賞作品と作者の写真とともに受賞への言葉が載っていました。私はそういった事には全く興味がないので、作品の写真だけ流し見をし、新聞を閉じます。
なぜか無性に懐かしい曲が聞きたくなり、動画を再生します。
1曲目、Swing Out Sister [ Now You're Not Here ]
2曲目、Chaka Khan [ Through the Fire]
不覚にもこの2曲を聞いていて涙が溢れました。
あの頃を思い出しました。名誉と金を必死になって追いかけていたあの頃を。
アカデミックなデッサンを学びたくて、しかしその願いは叶えられることもなく、一人で学び続けてきました。
独身時代も結婚してからも美術館に足を運び、芸展や県展、様々な作家の個展を見て刺激を受けていたのだけれど、報道関係の仕事をしていたお陰で公募展の闇の部分も多少は知っていて、自分がそこに近づくことは無かった。しかし、世間は一人でやっている人間には「いい趣味ですこと。」と、ありがたくも残酷な言葉を頂くことが多かった。
奨励賞を取ったって。
無鑑査になったって。
父方の祖父が私の描いた絵について来客にポロっとこぼした言葉がトラウマになっています。
「学校を出ていない絵は、どこか素人っぽくて・・・」
私の座右の銘は「火の位」。
これは剣道の上段の構えを表す言葉で、攻めの姿勢を表します。
しかしこの構えは、小手、胴、喉の急所を相手に晒す構えでもあり、相手を倒す以上に自分の弱さに打ち勝つ気構えでもあります。
私は常にこの火の位を自分に言い聞かせてきました。
アカデミックな道から外れ、一人歩く。
そこに貴方はいない。 [ Now You're Not Here ]
火の位、心に火を通す。 [ Through the Fire]
今回の個展ではトークイベントがあるそう。どうすんの俺?
やばいよ!やばいよ!
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました。
それでは今日はこの辺で。