【製本のある暮らし】とじじんという働き方2
研磨を17年もやっていると、職人という世界の末席に座ることになります。現在の会社では、私は一番新人なわけですが、職人歴はほとんどの若い人達よりは上です。3年5年の職人歴の人に教えを乞うことに全く抵抗はありませんが、若い職人にしてみれば随分やりにくいことが想像に難くありません。
先日、顧問が私の仕事を見て、「あとから来た人間が、先にいる人間より上手いとは・・・若いもんに教えて欲しい。」というありがたいお言葉を頂きました。
もちろん私から ”教えてやる” という態度はとりませんし、するつもりもありません。本人たちが聞いてくれば別ですが、3年5年と言ってもいっぱしの職人です。プライドもあります。
私が研磨を始めた頃は、一人前になるには3年かかると言われました。しかし、現在では労働人口の減少と労働者の流動性で、3年は待てない状況です。
以前にも職人について自分なりの思いを書きましたが、これからの職人像は昔とは違います。教える側も昔のように見て覚えろ!などとは言えなくなりました。顔色を伺うということではなく、同じ立ち位置で切磋琢磨するという姿勢が必要だと私は考えます。このことは、私の身近な昔の職人さんには難しいことだと感じています。それは言葉の端々に感じることです。
そのやり方はダメだ!!
この言葉が出ると、ほぼダメです。若い職人さんではなく、古い職人さんが・・・。アップデート出来ていない証拠です。
今の職場で私も随分言われました。しかし、3ヶ月が過ぎて私にそう言う古い職人さんはいなくなりました。その代わり先にも記した「若いもんに教えてほしい。」という認識になりました。
私は長いこと複業でやってきました。副業ではなく複業で。
製本もカリグラフィーも研磨も、私の中では楽しい行いです。楽しいからもっと面白くならないか?と考え工夫します。そうして出た結果に周りが納得してくれることに喜びを感じます。この充足感を味わいながら働いていければ、私は十分です。
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