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大漁旗の文化と技術の再興          新しい需要、受け継ぐ担い手を残す【STORY 5】

大漁旗技術のひとつはきめ細かな型

菊田氏の事務所に戻りと数週間前にテスト用としてお渡した仮デザインを魅せてもらえることになった。
このデザインは仮というよりも、どちらかというと、どのように大漁旗ができていくのか?そしてどんな工程があるのか?何が大変か?そしてどの程度の色の再現性と細やかさになるのか?どんな問題が起こるのか?まず和づくりメンバーが理解をすることを目的としてテスト用としてお願いをしたものであった。

1枚を完成させるのに約1か月ほど期間で菊田氏は仕上げてくれた。
逆をいうとそれだけ1枚に時間がかかるということだ。

菊田氏はテスト用の籏を持ってくる前に何やら別のものを持参してくれた。

大漁旗の型

私:【これはなんですか?】
和づくりメメンバー:【型ってこんな感じなんですね】
私:【型?】
菊田氏:【そうです。これが型です、色を入れるところとそうではない場所を分けるために、こういうのを作品を色を入れる前に作成するんですよね】
私:【え。そうなんですね、これなんて細かい…】
菊田氏:【細かいデザインだったんでw】
私:【あの。これってまさかこれは全部手作業?】
菊田氏:【そうです、全部自分でカットして作っていきます】
私:【えーこれを自分で…】
和づくりメンバー:【本当にすごい。とても繊細で器用で】

なんて細かい作業なんだ。
そして鮮明にカットされたひとつひとつの絵柄が完璧に仕上がっている。

私:【これを手作業で…】

僕も人生で色々なデザイナーさんと仕事をしてきて
その数は数えきれないが…
どのデザイナーさんよりもデザイン性がある作業なのではないか?

私:【これを手作業で…】

思わず何度も口にしてしまった。
僕だけでなく和づくりメンバーが一同の同じ言葉を出していた。

大漁旗技術のひとつとしていや設計図というか心臓と呼ぶべきか?
そのきめ細かな型こそ大漁旗の仕上げを作り上げるのだ。
そう実感した。

きめ細かく繊細な型

大漁旗の型どは新しいデザインの際には必要不可欠

私:【これってどのくらい時間がかかるんですか?】
菊田氏:【まあ一週間くらいですね、はじめちゃえば】
私:【つまり新しいデザインにはいつもこの工程が発生するということ?】
菊田氏:【そうですね、ただ同じものには型がそのまま使えるので、そういうものが開発できるとよいですかね。】
私:【でもこれが型だと、サイズが違うと使えない?ということですよね?】
菊田氏:【そうですね。サイズもですし、入れる文字が変わっても作り直さなきゃならない。】
私:【でもここまで細かいからこそ、色を落としていくときに、細かく色を入れていけるということ。ですよね】

鷹の羽部分の籏の仕上げ

菊田氏:【そうですね、だからこそ型が大切なんです】
私:【型できまる。でもそこが手作業】
菊田氏:【すこしこのテストの制作が遅れてお時間をいただいたのですが、年始が寒く、どうしても手がかじかんでしまい、この型の作業がはかどらなくて、すこしみなさんをお待たせしてしまったんです】

私:【いえそれは問題がないのですが、この作業が一番工程の中で時間がかかりそうですね、機械どかはないのですか?現代にも】
菊田氏:【そうですね、大漁旗の工程の中では一番時間がかかるかもしれないですね、もちろん手作業ではなく、機械を使う人もいて、今はやはりそのほうが楽ということもあって。僕も使ったりしているのですが、今壊れてしまって。】
私:【そうなんだ。機械はあるんですね、納得しました】
菊田氏:【結構お値段がするのでw】
私:【ん?つまりこれからみんなで新製品を開発をしても手作業にあるということですよね?、だって型サイズなどが変わっても作り直す必要があるんですよね?それって現実的?】
菊田氏:【そうですね、新しい製品を作ってそれが購入できるくらいになればよいのですがw。今現在は手作業でやっていかなくてはいけないですね。現実的かどうか?はできれば使いまわせたりできるのであれば非常にうれしいといったところですね】
私:【共通部分などがあればそこは使いまわして、たとえばデザインがはいる部分は型は一緒で、文字部分だけ型をつくるとかだと全然工程は違いますか?】
和づくりメンバー:【そうなってくると少し今までの方向性を考え直して、デザインの仕方も変えていかないといけなくなりますね】
私:【うん、でも現実的でないものでも菊田さんがモノづくりをする度に疲弊するというか。別型の場合は特注扱いというか】
菊田氏:【文字の部分を一か所に集めてくれれば、それは可能なのでたいぶ楽にはなりますね。ありがたいです。

なるほど。
今日があって本当に良かったと実感をした。
僕たちの目的はあくまで大漁旗の新製品開発ではなく、その先にある大漁旗の後継者を残すこと。
先に現在の大漁旗職人菊田氏が疲弊してしまっては、宮城県から大漁旗職人がいなくなってしまう。それではまったく意味がない。

つまり型をつくることになそうとも
ここのポイントを知っておかないといけないとそもそもどんなプランを作っても絵に描いた餅である。プランそのものを考えなおさなくてはいけないと感じた日でした。


和づくりメンバーと菊田氏の相談は3週間後

和づくりメンバーと大漁旗職人の次回の打ち合わせは3週間後とした。
来週掲載をする色入れの問題と合わせて、プランを再度練り直す必要性があるからだ。メンバーの各担当はPRの準備を進めながら3週間後に再度プランの打ち合わせをすることにした。
ここの設計をしっかりしておかないとクラウドファンディングをしても
なんの意味もなからだ。

宮城県に最後残された大漁旗職人に後継者を創るため。
菊田氏と和づくりメンバーの挑戦は続きます。

和づくりメンバー

来週の投稿はこの視察の続き、大漁旗の色入れと職人の想い。

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