京都モダン海鮮丼屋
いつものエッセイとはちょっと趣向が違うけれど衝撃を受けたので一筆。
――店内は割と小ぢんまりとしていた。
テーブルは入口近くに1セットと、奥に二人用のテーブルが4セット。僕が入ったときは、客は奥のテーブルに二人組の女性がいるだけだった。
内装は高級感のあるロココ調で統一されており、細かな置物にも配慮がみられる。
天井から流れてくるジャズピアノのBGMが店内をより一層優雅に魅せ、午後のひと時を落ち着きあるものにしていた。
――ただ、信じがたいことに、ここはれっきとした「海鮮丼屋」なのである。
店の名前は舎朗夢。
店は夫婦(と思われる)が二人で切り盛りしているようだ。
「日替わりでお願いします」
と僕が言うと「はあい」と明るい声で女性がオーダーを取り、後ろの厨房にいる男性へ投げかけた。
運ばれてきた料理は、3種の魚が盛り付けられた日替わりの海鮮丼と赤出汁のお味噌汁、サラダのセット。
まずは赤出汁で箸を濡らす。
ずずっと啜ると何とも旨味のあるお出汁が口中を巡った。
続いてメインの海鮮丼。塩味の好きな僕はテーブルに置いてあった醤油を豪快に回しがけした。
たっぷりの醤油とワサビを載せて、刺身をほおばる。
これまた何とも美味い。
肉厚かつ大振りの身は噛み応えも抜群で、より食欲をそそる。
刺身の下に隠れていた酢飯も酢の効き具合が絶妙で、それ単独でも美味いのに、メインの刺身の味を程よく引き立たせていた。
あっという間に日替わりセットを平らげ、しばし余韻に酔いしれた。
願わくばもう一杯お替わりもしたいところだったが、いかんせん次の予定まで時間がない。
「ごちそうさまでした」
「またよろしくお願いしますー!」
形式的なやり取りを済ませ、僕は店を後にした。
もし機会があれば皆様もぜひ訪れて頂きたい。