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美しき無国籍料理、EMI❤️さんに捧ぐ①プロローグ

 午後6時、約束の時間に私がホテルを訪れると、絵美さんは紺色のドレス姿で出迎えてくれた。日中お会いしたときのスポーティーなコート姿とは違い、よりエレガントな女性らしいオーラが漂っていた。
「こんばんは。素敵なドレスですね、髪型も変えられて、気品が溢れる感じです」
と、私が素直に印象を言うと
「うれしいです、ありがとう。中山さんも、ジャケットにネクタイ姿がお似合いですよ、こんな着こなし好きです」
私は、紺色のブレザーに薄いパープルのギンガムチェックのシャツ、紺色のニットタイを締め、グレンプラッドのスラックスを履いていた。
絵美さんは提案した。
「ふたりで色合わせをしたような感じですね。それで、お願いしたコース料理なんですけど、こちらのホテル部屋では狭くて居づらいから、どこか別の場所に行きませんか?中山さん、素敵なところ知りませんか?ラブホ🏩なんかどうでしょう。
いいところ、ご存知?」
「えっ、ラブホですか?」
私は、驚いて尋ねた。
「大丈夫ですよ、ラブホに行ってもHするとは限らないので。でも、中山さん次第ではわからないけど。もっとも、私じゃ、そんな気にならないかしら?ふふん」
絵美さんは、悪戯っぽい笑顔で答えた。
「うーん、そうですね。古町にラカーサという
ラブホがあります。内装は、全然エロくなくて、アジアンモダンでお洒落な感じです。女性がデザインしたらしいです。
ここからだと、車で5分くらいかな。私の料理用の荷物がかなりあるので、歩きだとキツイですね」
私は、ラカーサのHPをネットで検索し、スマホで絵美さんに見せて言った。
「良さそうですね、じゃあそこにしましょう。私の車を出しますね。ラカーサ?駐車場はあるの?」
「専用の駐車場はないけど、近くに立体の大きな契約駐車場があるから大丈夫ですね」
 絵美さんの準備が終わると、私たちはホテルの駐車場で彼女の車に乗りこんだ。白のアウディQ3だった。
「運転は、中山さんにお願いします。道が分からないし、男性が運転するのを見るのが好きなの」
助手席の絵美さんの視線を感じながら、私は車を走らせた。
「ここが、有名な萬代橋。渡ったら、もうちょっと走ったら着くくらいですから、近いですね」
数分で東堀通の大型駐車場に着いた。
「ここから歩いて、2.3分です」
「荷物たくさんですね、ひとつ持ちましょうか?」
「いや大丈夫です。女性に持たせるわけにはいかないですから」
「でも随分いっぱいありますね。お料理と道具以外にもあるんじゃないんですか」
「えー、実は絵美さんからお誘いを受けたので、私も男ですから、万一そうなったときのためにいろいろエロエロ道具を用意しました。ロープとか、電マとか、バイブとか、アダルトグッズですね」
私が真顔で答えると
「まぁ、私がHなの、お見通しだったの。じゃあ、もう今日はするしかないわね、ふふふっ」
まんざらでもない様子で絵美さんは言った。
「本気にしました?まさか、冗談ですよ。中身は、ワイングラス、テーブルクロス、バゲット、デザートなど、料理に関するものだけです。でも、まさかとは思いましたが、こんな素敵な絵美さんと、もしかしたら、なんて…」
【続く】


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