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民法#83 質権①

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【コラム 担保物権の種類】
①約定担保物権
→当事者の合意により成立する担保物権。
 付従性や随伴性が多少緩和される場合がある。すなわち、条件や期限をつけることができる。具体的には抵当権と質権
②法定担保物権
→法律要件を満たすことで生じる担保物権。
 付従性や随伴性の緩和が原則的にはない。
 具体的には留置権と先取特権

質権


→約定担保物権だが、抵当権とは違い、質物の占有を要件とする。したがって、占有がなくなると効力を失うのが原則である。
→質権は要物契約であり、引き渡しを要する。引き渡しは占有改定を含まない。
→質権は動産質の他、不動産質や権利質がある。抵当権は権利者の占有を必要としないため、登記により公示できる対象しか設定できないのとは対照的である。
 ※すなわち、不動産および、地上権、永小作権、特別法により抵当権を設定できるもの(立木法による立木の集団など)
→引き渡すことができない物以外は質権として設定できる。例えば、墓石や位牌、勲章、印鑑など民事執行法で差し押さえが禁止されている物でも質権設定は可能である。
→質権は抵当権同様に物上保証も可能である。

【用語 諾成契約と要物契約】
前者は当事者の合意により生じるほとんどの契約である。対して後者は、当事者の合意の他、対象物の引き渡しが要件となる。後者の具体例は質権の他、書面によらない消費貸借契約がある。

流質


→弁済がされない場合、質権者が質物の所有権を得ることを流質という。
→流質は民法で認められないが、弁済期の以後に流質をする約定をするこたはできる。
※逆を言えば弁済期前の流質契約はできないため、裁判所を通じて競売手続きをするしかない。
→なお、プロの質屋は質屋営業法という特別法により流質が認められている。

質権の被担保債権の範囲


→質権は元本、利息、違約金、質権の実行費用、保存の費用、債務不履行や隠れた瑕疵によって生じた賠償を担保する。
→設定に上記とは別の定めをすることもできる。
→抵当権は後順位抵当権者や一般債務者がいる場合があるので、その場合に元本と利息や定期金、損害賠償金などを含めて満期までの最後の二年分しか担保できないが、質権にはそのような規定がない。

【コラム 不動産質権】
抵当権の準用があるため、利息支払の特約があれば375条の準用がある。また、根質権を設定した場合は極度額の設定を要する。

【コラム 根質権】
根抵当権ならぬ根質権の設定も可能である。一定の範囲に属する不特定の債権を極度額を限度に保証する。動産質の場合、極度額の設定を要しないが、抵当権を準用する不動産質は極度額の設定を要する。

動産質


→質権の本質は占有を質権者にうつすことにより弁済をうながすことにあるため、基本的に占有がなければ効力を生じない。特に質権設定者に代理占有させることはできない。
→占有改定以外の引き渡しを要する。
①現実の引渡し
②簡易の引渡し
③指図による占有移転
 ※③の場合は保管者に複数の質権者のために保管を指図することができる。また、賃借人に対して賃貸人である質権設定者が質権者のために占有することを命じることもできる。

質権と占有の喪失


①質権者が質物を修理などのために設定者に返還した場合
→当事者である設定者には質権にもとづき返還請求可能である。すなわち、この場合に占有を失っても質権は消滅しない。ただし、第三者対抗力はない。

②質権者が質物をなくして、第三者が拾った。
→質権は第三者対抗力をもたないため、対抗できない。※質権自体は消滅していないため、当事者である設定者には対抗できる。したがって、第三者が設定者に質物を渡した場合は返還請求をすることができる。

③質物を第三者が盗んだ。
→質権に基づいての返還請求はできないが不法に占有を奪われているため占有回収の訴えをおこすことはできる。

【復習 占有訴権】
①占有保持の訴え
→占有を妨害された場合、その停止及び損害賠償を求めることができる。ただし、妨害があるか妨害が終わってから一年以内に請求しなければならない。
 また、工事の場合はその着手から一年経過するか工事が終了すると請求できなくなる。
②占有保全の訴え
→占有が妨害されそうな場合、その予防か担保の供与を求めることができる。妨害がされそうな間は請求できるが、工事によるものだと、工事が着手されて一年経過するか工事が終了すると請求できなくなる。
③占有回収の訴え
→占有が奪われた場合に奪われてから一年以内に請求することができる。占有を奪われた物が善意の第三者に渡った場合は別の規定がある。
※盗品、遺失物の特約。二年以内であれば取り戻せるが、市場や競売、商人を通じて購入された物であればその価格を支払わなければならない。

【コラム 即時取得】
即時取得により所有権の他に質権を取得することができる。復習のため要件を下記する。
①無権利者から
②贈与や売買などの取引で※相続は含まない
③動産を
④引渡し※占有改定は含まない
⑤引渡しを受ける側は善意、無過失、平穏、公然

演習問題

次の設問に◯か✕かで回答せよ。

①質権は、期限又は条件が付された債権を被担保債権として設定することができない。

→✕ 質権や抵当権すなわち約定担保物権は付従性が緩和されているため、付款がある被担保債権について設定することができる。

②動産質権の被担保債権の弁済期が経過したにもかかわらず動産質権者が弁済を受けなかったときは、その後、動産質権者と質権設定者は、動産質権者が質権を第三者に売却してその代価をもって弁済にあてることができる。

→◯ 民法上、原則流質契約は認められないが、弁済期以後は流質を約することはできる。

③民事執行法上の差押え禁止動産も質権の目的物とすることができる。

→◯ 強制執行とは違い、質権設定者の意思により質権設定はするものなので可能である。差押えが禁止されている動産は、仏像、位牌、勲章、実印などがある。

④動産質権は、元本、利息、違約金、質権の実行の費用、質権の保存の費用及び債務の不履行又は質権の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保し、設定行為においてこれと異なる定めをすることができない。

→✕ 異なる定めをすることはできない。

⑤不動産根質権については極度額の定めが必要であるが、動産根質権については極度額の定めは必要ない。

→◯ 不動産質権にはその性質に反しないかぎりは抵当権に関する規定が準用される。したがって、不動産根質権には極度額の設定を要するが、動産根質権の場合は質権者が動産を占有しており利害関係を有する第三者があらわれる可能性は低いので極度額の定めを要しない。

⑥指図による占有移転の方法によれば、同一の動産について複数の者にそれぞれ質権を設定することができる。

→◯ この場合、先に設定を受けた質権者が先順位となる。

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