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憲法#5 天皇

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第1章 天皇

第1条

天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。
【ポイント】
天皇主権の立憲君主制の明治憲法との比較。
国民主権、象徴天皇制への転換。

第2条

皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
【ポイント】
皇室典範は皇族に関する法律。

第3条

天皇の国事に関わるすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。
【ポイント】
国事行為は天皇は政治的には責任がない。
内閣が政治的に責任をもつ。

第4条

天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。

第5条

皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行う。この場合には、前条第1項の規定を準用する。

第6条

天皇は、国会の指名に基づいて、内閣総理大臣を任命する。
天皇は、内閣の指名に基づいて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
【ポイント】
要暗記項目

第7条

天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行う。
一 憲法改正、法律、政令、及び条約を公布すること。
【ポイント】
予算や条例は入っていない。
公布は慣習法として官報に記載され公示がされる。
二 国会を召集するこ
三 衆議院を解散すること。
【ポイント】
内閣の解散権を、69条に求める説と7条に求める説がある。通説は7条説である。

四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の委任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。

【ポイント】
批准とは条約締結権能をもつ機関が締結した条約に形式的に認証し効力をもたせること。

九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行うこと。 

第8条

皇室に財産をゆずり渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基づかなければならない。
【ポイント】
皇室財産も財政民主主義の下にコントロールされる。

問題演習


次の設問に◯か×で答えよ。

①日本国憲法の規定によれば、天皇は世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

→◯ 皇室典範は天皇や皇族、およびその関連について定めた法律である。

②憲法上の象徴としての天皇には民事裁判権は及ばないが、私人としての天皇には当然に民事裁判権が及ぶ

→× 天皇には民事上の責任を追及することはできるが、裁判で訴えることはできないとされる。「天皇は日本国、日本国民統合の象徴である地位にかんがみ、民事裁判権が及ばない(最高裁判決平成1年11月20日)」という判決。
 なお、刑事裁判においては天皇にはその責任も追及することができないし、刑事裁判権もないとされる。

③天皇は国事に関する行為の他に、特定の場合には、国政に関する行為をすることができる。

→× できない。憲法4条1項には「天皇は国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しない」とある。

④予算の公布は天皇の国事行為である。

→× 国事行為ではない。憲法改正、法律、政令、条約の公布については国事行為ではあるが、予算や条例については国事行為ではないことに注意。

⑤天皇は内閣の助言と承認により、国事行為として衆議院を解散する。

→◯ これを7条解散という。ところで、衆議院解散中における、参議院の緊急集会は内閣が召集するものであり、天皇の国事行為ではない。

⑥次のすべてが天皇の国事行為である。
 ・内閣総理大臣の指名
 ・憲法改正、法律、政令、条約の裁可
 ・国務大臣の任免
 ・大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除、及び復権の決定
 ・衆議院の解散

→×
 ・内閣総理大臣の指名は国会の権能であり、天皇はそれにもとづき任命するのが国事行為。
 ・裁可ではなく、公布である。なお、裁可というのは明治憲法において観念できる用語。
 ・国務大臣の任免は内閣総理大臣の権能。天皇は国事行為としてそれを認証する。
 ・恩赦関係を決定するのはやはり内閣である。天皇の国事行為としてはそれを認証する。
 ・衆議院の解散は内閣の助言と承認をもとにする天皇の国事行為である。

⑦財政民主主義にもとづき、皇族関係予算は国会の議決を要する。また、皇族関係の財産は基本的に国家に帰属する。

→◯ 皇族の方々のつけている宝飾品も国家に帰属する財産として計上されている。

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