
民法#91 非典型担保①
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非典型担保とは
→譲渡担保や代理受領など、条文にはないが実務上用いられ、判例でも認められた担保類型
譲渡担保とは
→被担保債権を担保するために目的物の所有権を担保権者に譲渡しておき、弁済すればそれを受け戻すことができる担保形式。
→不動産他、動産でも可能であり、必ずしも担保権者の占有を要しないため、引渡しは占有改定でもよい。動産質ではできないことであるため、ここに譲渡担保類型の意義の一つがある。
→通説では所有権的構成をとり、内部的にも対外的にも担保権者が所有権者がもつ。結局は担保目的以外で目的物に対しては権利の行使ができないとしても、それは当事者間の債権関係にすぎない。
【用語 所有権的構成と担保的構成】
前者はどちらかというと形式を重視した考え方で、所有権は担保権者に属する。後者は実質を重視して担保権者は担保権のみをもち、所有権は設定者に帰属するとされる。
譲渡担保権者からの第三取得者があらわれた場合に、前者は所有権をもっている者からの譲渡となるため、善意悪意関係なく承継取得することになる。
しかし、後者の構成をとると、担保権者に所有権がないので、譲渡では所有権を第三取得者は得ることはできない。なお、即時取得の要件を満たせば、もちろん原始取得することは可能である。
譲渡担保の精算実行
→弁済期日までに弁済がなされない場合は、担保権者は目的物を精算して弁済にあてることができる。譲渡担保の実行には清算手続きを要するとするのが判例である。
①帰属清算型
債権者が目的物を評価して、債務者に清算金を交付する。
②処分清算型
目的物を換金してそこから清算金を交付する。
【コラム 譲渡担保と物上代位】
たとえば、譲渡担保設定者が目的物を第三者に売却した場合、即時取得されてしまう場合があるが、担保権者はその代金に物上代位することはできる。
受戻権について
→譲渡担保において、きちんと弁済をすれば所有権を設定者に戻す権力がある。
→その時期について
①帰属清算型
清算金の支払い、その提供、もしくは清算金が0であることの通知
→担保権者が目的物を譲渡してしまった場合はもはや受け戻しすることはできず(第三者に対抗できない)譲渡の時を基準に清算がされる。
②処分清算型
担保権者が第三者に目的物を処分するまで
→弁済期日の到来の後に譲渡担保設定者はその受戻権を放棄して清算金の請求をするこたはできない。
譲渡担保と同時履行
①目的の土地を譲渡担保権設定者が占有する場合、担保権者の清算金の支払いとは同時履行の関係となる。
②目的の土地を譲渡担保権設定者が占有する場合、先に弁済があってから目的物の受け戻しが可能である。
→弁済の後に抵当権の登記の消滅請求ができるのと同じ
【コラム 第三者の差押え】
処分清算型にせよ、帰属清算型にせよ、弁済期日を過渡した場合において、第三者に目的物が引き渡された場合は受け戻しはできない。これは譲渡担保権者の債権者が譲渡担保の目的物を差押えた場合も同様である。
ケーススタディ1
譲渡担保権者が弁済期日を過渡したので、目的土地を第三者に譲渡した(なお、処分清算型)。
第三取得者は目的土地の明け渡しを設定者に請求したが、清算金の支払いがまだであった。
①設定者は清算金の支払いと目的土地の引渡しを同時履行するよう抗弁できるか
→できない。なぜなら、清算金は設定者と担保権者の話である。設定者は第三取得者と双務契約をしたわけでもない。
②設定者は留置権を第三取得者に主張することができるか。
→できる。
清算金債権と明け渡し債権は対応する関係である。
ケーススタディ2
譲渡担保設定者は弁済期にその債務を履行した。その後に担保権者が目的物を第三取得者に譲渡して登記を備えた。
→設定者と第三取得者は対抗関係となり、登記の先後により所有が決する。※主観的要件は関係なし
→第三取得者が背信的悪意者である場合は登記の欠缺を主張できる第三者にはあたらない。
ケーススタディ3
譲渡担保権者が弁済期日の後に目的物を第三取得者に譲渡した。
→第三取得者が背信的悪意者でも、設定者は受け戻しができない。弁済期日を過渡している以上、担保権者は譲渡担保を実行して清算手続きをする権利があるからである。すなわち、正当な承継取得であり、対抗関係となっていない。
ケーススタディ4
譲渡担保権者が譲渡担保の目的土地に設定された先順位の抵当権の被担保債権を弁済した。
→求償権は譲渡担保の被担保債権とはならない。※特別な規定がない限り
→しかし、先順位に求償権が代位する。
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