
民法#93 債権序論①
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債権と物権
→前者は「特定の誰かに特定のことを請求する権利」である。後者は誰に対しても排他的に権利を主張することができる権利である。
→前者が属人的にいくつも債権債務関係を成立させることができるのに対して、後者は「一物一権主義」である。
【コラム 債権・物権と登記】
賃貸借契約など例外を除いて、基本的には債権は登記されない。人に対する権利である以上、当事者が把握しておけば事が足りるからである。
物権は排他的な支配権であるため、誰が物権を有しているかを公示する必要があるため登記を要する。
債権関連基礎用語
①債権と債務
→特定の者が他の特定の者に一定の行為を請求する権利を債権という。それに呼応して請求に対して履行しなければならない義務を債務という。
→債権者と債務者の関係を債権債務関係という。
②法律要件と法律効果
→法律的な行為とは条文にある特定の要件を満たすことにより、特定の効果が発生することである。
→一般的には条文の前半が法律要件であり、後半が効果である。
③請求権
→不作為をも含む、他人に何かをさせるせない)ことを請求する権利
→債権の他、物権や身分からも請求権は発生しうる。
④契約
→相対立する2つ以上の意思表示により成立する法律行為。
→意思表示の合致だけで成立するのが諾成契約、目的物の引渡しを要するのが要物契約である。典型契約においてはほとんどが諾成契約であるが、要物契約の例としては書面によらない消費貸借契約や動産質の契約がある。
⑤債務不履行
→債務者が債務の本旨に従った履行をしないこと。または履行が不能なこと。
→具体的には、履行遅滞、履行不能、不完全履行がある。
二重売買の理屈
aが同一の目的物をbとcに売った場合
→物権の観点から論じると一物一権主義により動産であれば引渡し、不動産であれば登記の先後により所有を決することとなる。
→債権の観点から論じると、一人に対して複数の債権債務関係が成立することはありうる。しかし、引渡しができるのは一方だけであるため、もう一方には損害賠償の債務を負うことになる。
【コラム 二重売買と刑法】
なお、上記の二重売買の例を刑法の観点から論じると、aは横領罪の構成要件を満たす。
債務不履行と損害賠償
→債務不履行には履行遅滞、履行不能、不完全履行がある。
→債務者が債務の本旨に従った履行がされない場合は債権者は損害賠償請求ができる。
→ただし、債務者に帰責事由がなくてはならない。
【コラム 期限の利益】
期限の利益は原則として債務者のためにあるため、債務者は弁済期日を定めていてもいつでも返還することができる。
ただし、利息つきの債権である場合は、返済自体は繰り上げ可能ではあるが、債権者の損害を賠償しなくてはならない。しかし、銀行が繰り上げ返済された資金をすぐに他に貸し付けるなど、利息の逸失として判断されない例外的な場合は存在する。
なお、債務者が期限の利益を喪失する場合も民法に規定があり、
①破産手続き開始の決定
②担保を滅失や損傷、減少させたとき
③担保を提供する必要があるのにしないとき
である。