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民法#76 抵当権の各種論点

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①登記の流用


→本来であれば、ある被担保債権が弁済されたのであれば、きちんと生成と消滅につき登記として公示されるべきである。
※もちろん不動産を担保にする場合において
 しかし、現実的には登録免許税や手間を省くために、別の債権のために登記の流用という横着が発生する場合がある。
→判例は流用前に後順位抵当権者がいる場合は無効、そうでない場合は有効としている。
前者においては、順位が繰り上げるという後順位抵当権者の期待と利益を害することはできず、後者は利害関係者に実害がないなら、広くなされている登記の流用を一概に否定することができないからである。

【コラム 担保物権の性質】
基本的に担保物権は付従性、随伴性、不可分性、物上代位性の4つの性質がある。この他に留置的効力と優先弁済効力があるが、例外として抵当権には留置的効力はないし、留置権において優先弁済効力は事実的のものである。また、例外もあり、随伴性と付従性が緩和された根抵当権はその典型例である。

②抵当権と時効


→抵当債務者と抵当権設定者に対しては、抵当権は被担保債権と同時でなければ消滅しない。
 ※被担保債権の時効は一般原則であり、権利を行使できることを知った時から五年、権利を行使できる時から十年である。
→それとは別に、債務者や抵当権設定者以外、すなわち、第三取得者や後順位抵当権者などにおいては抵当権個別に時効消滅しうる。
 ※なお、債権および所有権以外の財産権であり、権利を行使できる時から20年で時効消滅する。
→取得時効した場合、原始取得、すなわち抵当権などがあれば消滅するのが原則であるが、債務者や抵当権設定者、保証人が時効取得した場合は原始取得とならない。

③抵当権の優先弁済の範囲


→抵当権者は利息その他の定期金(損害遅延金など)を請求する権利を有するときは満期となった最後の二年分と元本しか優先弁済されない。
→残りについては消滅することなく、無担保債権として維持される。

④抵当権者と一般債権者の利害の調整


→抵当権者は抵当権目的物を競売にかけても、一人の債務者として一般財産より満足を受けることもできる。
→しかし、それでは一般債権者を害することにもなりかねないので、抵当権目的物を競売にかけた場合にまかないきれない分の債権を一般財産から満足を受けることができる。
→なお、他に一般債権者がいない場合は上記の限りではない。

→抵当権目的物の競売よりも先に一般財産の強制競売が行われる場合、抵当権者も参加することができる。
 しかし、後に抵当権目的物を競売した場合にそこから満足を得られる場合があるため、他の一般債権者は抵当権者の配当分は供託するよう裁判所に請求することができる。
 供託した場合は、後に抵当権目的物が競売され、抵当権者に配当され、それでもまかないきれない債権分のみを供託金から配当を受けることができる。

⑤抵当権の設定された地上権、永小作権の放棄
→抵当権は不動産の所有権に設定するのが原則であるが、地上権や永小作権にも設定することができる。
→抵当権の設定された地上権や永小作権は放棄することはできるが、それを抵当権者に対抗することはできない。

【コラム 地上権の存続期間】
 地上権は自由に存続期間を定めることができる。また、有償か無償かも契約の定めによる。期間を定めない場合は自由に地上権者は権利を放棄することができるが、地代の定めがある場合は一年前に告知するか将来一年分の地代を支払って放棄することができる。

演習問題

次の設問に◯か✕かで回答ください。

①被担保債権の弁済によって消滅した抵当権の登記を、他の債権のための抵当権の登記として流用した場合であっても、抵当権者はその弁済前に登記された後順位の抵当権を有する者に対し、自己の抵当権が優先することを主張することができる。

→✕ 流用の後に登場した第三者には主張できるが、前の第三者には主張できない。

②抵当権は被担保債権とは別個に時効消滅するが、債務者や抵当権設定者の関係では独立して時効消滅しない。

→◯ まず、抵当権も消滅時効にかかる。債権及び所有権以外の財産権にあたり行使できる時から20年で消滅時効にかかる。原則的には被担保債権とは別個に時効にかかるが、債務者および抵当権設定者に対しては被担保債権と同時でなければ消滅しない。

③抵当権の被担保債権のうち利息の請求権が二年分を越えた場合には、特別の登記がされない限り、債務者が元本及び満期となった最後の二年分の利息を支払ったときは当該抵当権は消滅する。

→✕ あくまで優先弁済の論点の話であり、残債務のすべてを弁済しなければ抵当権の抹消請求ができない。

④抵当権者は担保目的物を競売にかけることもできるし、一般財産からも弁済を受けることもできる。ただし、後者において他に債権者がいる場合は担保目的物の財産価値だけでは債務をまかなえない範囲において弁済を受けることができる。

→◯ なお、一般財産の競売が先行する場合は担保目的物でまかなえる弁済範囲を越えた額について供託するよう求めることができる。

⑤地上権および永小作権を担保目的として抵当権が設定されている場合、地上権者や永小作権者はそれら権利を放棄することはできるが抵当権者に対抗することはできない。

→◯

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