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刑法#36 盗品等に関する罪
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※remake版も併せて確認ください。
盗品等に関する罪
→保護法益は被害者の追求権である。
よって、純粋に被害者にかえすために買い受けることは犯罪とならない。しかし、それが犯人の利益となったり、有償で被害者に買わせるのであればその限りではない。
→なお、追求権は民法の規定に従う。たとえば、即時取得されれば追求権はなくなる。
→窃盗の他、詐欺罪や横領を原因とする。客体は盗品に限らない。
→ただし、賄賂や賭博により得た金などは不法に領得されたものとみなされない。被害者に追求権がないため。
→民法上取り消すことができる事柄でも、刑事上成立する。
①無償譲り受け
②有償譲り受け
③保管
④運搬
⑤有償処分のあっせん
※①以外では珍しく、懲役と罰金が併科される。
窃盗犯による盗品等に関する罪
→窃盗犯が盗品を運搬や保管しても盗品譲り受け罪などにはならない。あくまで窃盗の一罪として内包されるからである。
→しかし、教唆犯や幇助犯には盗品等譲り受け罪が成立しうる。
→なお、盗品等とは財産罪により取得された財物そのもののこと。財物の対価では同一性は失われる。しかし、盗品が通過や小切手であり、これらを換金した場合は同一性は失われない。また、密輸品は盗品ではない。
盗品等に関する罪における既遂と未遂
→犯罪が完了しない間は犯罪が成立しない。未遂はない。たとえば、引き渡しなど。
→有償処分あっせんのみは、引き渡しがなくとも成立する。
継続犯との関係
→継続犯とは監禁罪のように犯罪状態が続くことであり、盗品等保管罪や運搬罪も継続犯である。
※盗品と気づかず買って、気づいた後も返還しなかった
→犯罪成立しない。引き渡しの際に故意がないため(この場合、犯罪の継続状態ではないので)
※盗品と知らずに運搬したが、運搬中に気づいたが、かまわず運搬を続けた。
→盗品等運搬罪は継続犯であるため、継続中に気付けば故意が発生する。未必の故意も含む。
親族相盗例との関係
※詳しくはこちら
「配偶者、直系血族、同居の親族間における窃盗などは刑を科さない。」
※Aの車をBが盗み、Cが買った
→CとBが直系血族関係にある時
人情の面でやむを得ないため、親族相盗例が成立する。
※CとAが直系血族関係にある時
→被害者と買い取った者がたまたま親族であっただけなので、刑を免除されない。
演習問題
次の設問に◯か✕かで回答ください。
①盗品等に関する罪の被害物が同一性を失った場合には、被害者の当該被害物に対する追求権は失われるから、本犯の被害物の売却代金である金銭の贈与を受けても、盗品等に関する罪は成立しない。
→◯ 本罪は財物そのものへの追求権が保護法益でたる。したがって、財物の対価は被害物ではない。なお、被害物が通過や小切手でそれを両替や換金をした場合は財物の同一性が認められる。
②Aは盗品であることを知りつつ窃盗犯のBから車を購入した。しかし、まだ引き渡しを受けていない。この場合、Aに盗品等譲受け罪が成立する。
→✕ 本罪は引き渡しが完了することにより成立する。その時点で被害物の追求権を危うくしているからである。なお、本罪に未遂罪の規定はない。
③Aは窃盗犯のBから依頼を受けて車の買い手をあっせんした。しかし、あっせん料は受けてはいないし、買い手への車の引き渡しはまだである。この場合、盗品等有償処分あっせん罪は成立しない。
→✕ あっせん行為自体は無償でも本罪は成立する。また、盗品等有償処分あっせん罪の場合のみ、引き渡しがなくとも盗品等に関する罪が成立する。
④Aは他人所有の車を占有しているBと共謀してこれを処分することとし、自己においてこれを買い受けた。この場合、盗品等有償譲受け罪が成立する。
→✕ 横領罪であり、有償譲り受けについては不可罰的事後行為となる。